<高校サッカー:広島皆実3-2鹿児島城西>◇12日◇決勝◇国立

 広島皆実はFW金島悠太(3年)の2得点などで8度目の出場で初優勝、広島県勢として41年ぶりの全国制覇となった。

 広島皆実は準決勝まで伝統の「堅守」の陰に隠れていた「強攻」で、初優勝をもぎ取った。

 鹿児島城西のFW大迫勇に先制点を許した3分後の前半23分。左サイドのMF浜田が右サイドに送ったボールをMF佐々木が頭で中央に落とし、走り込んだFW金島が右足でボレーを決めて同点とした。2-2で迎えた後半21分にはDF村田のクロスに再び金島が頭で合わせて、突き放した。「うちにはスーパースターはいないけど、日本一の団結力がある」。金島は興奮気味にまくし立てた。

 「堅守強攻」が今年のチームの合言葉。02年にコーチに就任し、07年から監督として率いている35歳の藤井潔監督は「ベスト8の壁を突き破るため、攻撃力を上げようと取り組んできた」と振り返る。最近2大会は準々決勝で敗退。その経験から、伝統の堅守に「強攻」を加えたという。1大会最多の29得点の鹿児島城西に対して約3分の1の9得点と爆発力はないが、練習で繰り返していた流れるような攻めが結実し、決勝の大舞台で今大会チーム最多となる3ゴール。DF松岡は「攻撃力が付いたことが優勝につながった。点を取る自信があった」と胸を張った。

 かつて埼玉、静岡の両県と並び、高校サッカーの「御三家」とまで呼ばれた広島に41年ぶりに優勝旗を持ち帰る。登録25人中11人がJ1広島のジュニアユース出身者で、ユースへ昇格できなかった選手が高校に入って成長したのも大きい。広島で育ち、広島国泰寺高校時代は全国選手権の経験はなく、“勝てない広島県”を肌で知っていた藤井監督は「今まで鍛えてもらった九州のチームと素晴らしい試合ができて、感謝のひと言。いろんな先輩たちの思いが込められている優勝です」と、感慨深げだった。