<サッカーaiコラム:選手権のHEROたち>

 1回戦は2-1で盛岡市立(岩手)に勝利した三重県代表の四日市中央工。2日の2回戦は境(鳥取)との対戦です。

 サッカーai編集部が注目したのは、四日市中央工でチームをけん引する5人の3年生。レギュラーの残り6人はすべて2年生ということもあり、ほとんどが初めての選手権という状況で、1回戦は立ち上がり緊張もあったのか苦しい時間帯が続きました。キャプテンのMF伊達勇人選手は「立ち上がりはかなりあわててしまいました。西が丘は観客席とピッチが近くて、声援に飲まれてしまった。でも、県大会の決勝でも先制してから逆転したし、PKの練習もしてきた。盛岡市立に追いつかれたときも、PKになったとしてもうちが勝てると思っていました」と試合後冷静に語ってくれました。MF武藤選手も「1回戦が一番緊張すると思うので、これでもう次は自分たちのサッカーができると思います」とほっとした表情を見せていました。

 昨年1月の新チーム立ち上げからしばらくの間は、なかなかまとまりが生まれず、キャプテンの伊達選手はかなり苦労したと言います。樋口士郎監督も「昨年の選手権ベスト8になったチームに比べて、仕上がりがかなり遅かったので伊達があせっていた時期がありました。それでも、チームによってやり方が違うし、このチームなら大丈夫だと話したんです。伊達の明るいキャラクターがあったから、なかなか結果が出ずに苦しんだ時期もチームが崩れずにすみました」と、この1年を振り返ります。伊達選手が頑張れたのも、同じ学年の仲間がいたからこそ。全員が「今年の3年生はめっちゃ仲がいいんです!」と口をそろえます。DF下田祐輔選手は「今年はみんなでベスト4という目標を立てた。1試合でも多くみんなとサッカーがしたい」と話しDF加藤順也選手もまた「みんなで国立でプレーしたい」と最後の選手権にすべてをかけています。

 2回戦は、1回戦で思うように持ち味を発揮できず、途中交代となってしまったエースFW斎藤拓也選手の復活がカギ。1回戦終了後は落ち込んだ表情を見せていましたが、樋口監督も「あいつ自身でこの壁を乗り越えるしかない。今年一番成長したのが斎藤。だから彼には一番期待しています」と話していました。選手権前の取材でも「昨年は選手権で3試合に出場したけど、1点も取れなかった。今年は大事な場面でチームのために点を取りたい」と語っていた斎藤選手。

 1年生からAチームでこの学年を一緒に引っ張ってきたキャプテンの伊達選手の「次はエースがやってくれると信じています」という言葉通りに、昨年広島皆実に敗れた駒沢で、仲間とともに勝利を目指します。(サッカーai編集部・阿部菜美子)