<第2部国立で輝く男たち(1):京都橘FW小屋松知哉>

 30日に開幕する第92回全国高校サッカー選手権。第2部では「国立で輝く男たち」と題し、今大会に出場する男たちにスポットライトを当てる。第1回は、前回大会で準優勝し、得点王となった京都橘のFW小屋松知哉(3年)。来季、名古屋入りが内定している今大会注目度NO・1ストライカーは、今度こそ日本一を目指してピッチに立つ。

 前回大会では2年生ながら5得点を挙げ、得点王に輝いたが、決勝で鵬翔(宮崎)にPKで敗れ、あと1歩で涙をのんだ。あれから1年。今大会は主将として部員93人を束ねる。

 「去年の準優勝は周りから見たらええ結果やと思うけど、僕らにとったら悔しい思い出しかない。あそこまでいって勝ち切れなかった。その悔しさを持って1年間過ごしてきた」

 50メートル5秒8の俊足が最大の武器。だが、前回大会の活躍で名が知れ渡った今年は徹底マークが増えた。それでも、相手DFを引きつけ、味方を生かし攻撃の幅を広げた。今大会の県予選では、PK戦狙いでFWですら攻撃に参加せず、徹底的に守る相手もいたが、屈しなかった。

 これまで世代別代表歴はなかったが、5月以降、U-18日本代表の常連にもなった。10月のU-19アジア選手権予選では全3試合に先発出場。中国戦では得点し、来年のAFCU-19選手権への切符をつかんだ。

 「技術は日本人でも通用すると分かったし、スピードも生かせた。結果にこだわる大切さも知った。アジアを経験できたのは大きかった」。先輩Jリーガーやユースの選手に交じっても、物おじしなかった。

 今大会は初戦で藤枝東(静岡)と対戦する。「名門校とやれるのは楽しみ」。そして目指すは全国制覇だ。「最後の国立を目指せる。高校サッカーの聖地と言われる国立に立てるのは4校だけ。国立に立つために1戦1戦戦いたい。歓声も違うし、注目度も違う。いいピッチでいい相手とできるのはいい経験になる。国立はサッカーを一番楽しくやれる舞台かな」。

 大会が関東開催になって以降、京都勢の優勝はいまだない。「僕たちが結果を出すことで京都のサッカーが盛んになるし、高校サッカーの良さを伝えられるいいチャンス。優勝を持ち帰れたら」。悔し涙はもういらない。【福岡吉央】

 ◆小屋松知哉(こやまつ・ともや)1995年(平7)4月24日、京都府久御山町生まれ。小2から久御山バイソンズFCでサッカーを始め、中学時代は宇治FC。来季名古屋入りが内定。U-18日本代表。171センチ、57キロ。