全国高校サッカー選手権の決勝は今日13日、史上初の北信越ダービーとして東京・国立競技場で行われる。星稜(石川)は「禁本田」を掲げた。同校出身の本田圭佑セリエAの試合が決勝当日早朝にあるが、河崎護監督(54)は選手たちに「見る必要ないよ」と指令を出した。

 星稜の選手たちは、ミランカラーのジャージーを脱ぎ捨てた。12日、青い練習着で約1時間半の前日練習。すると河崎監督がたるんだ雰囲気を一喝した。

 「勘違いしているんじゃないか。こんなんでは日本一なれないぞ」。即座にMF寺村主将を中心に選手のみの青空ミーティングを開いた。決勝の大舞台を前に同監督は「子どもたちと全部ぶつけて勝ちたい」。日本一のために、同校の大先輩である本田をも禁じる覚悟だ。

 富山第一との決戦約9時間前、ミランに移籍した本田がセリエAデビューを飾る可能性がある。午前4時45分キックオフで終わるのは同6時半。早朝に起きれば大先輩の勇姿を見られるが、同監督は「見る必要ないよ。ゆっくり起きてほしい」とテレビ観戦を“禁じた”。それは万全の状態で決勝戦に臨むため。呼応するように寺村主将も「そりゃ見られるものなら見たい。でも、さすがに早い。その時間なら見ません」ときっぱり言い切った。

 同校にとって日本一のタイトルは三度目の正直になる。本田が1年生だった02年は全日本ユース(現高円宮杯)で、07年には全国総体でいずれも決勝で負けた。シルバーコレクターを返上するために、本田を見ないで最後の聖地に立つ。【栗田成芳】