俊輔が危険な存在になる「個」の力だ

- 夕闇迫るグラウンドで戦術を確認しながら右サイドを上がるMF中村俊(中央)
【ハノイ=12日】「オシム流」プラス「オレ流」で流れを引き寄せる-。アジア杯3連覇を狙う日本代表は今日13日、1次リーグ2戦目のUAE戦に臨む。MF中村俊輔(29)は、個々の発想・技術で、攻撃にアクセントをつける必要性を強調。オシム監督からも、ゴール周辺で相手を欺くような、独創的なプレーを求められた。9日のカタール戦では、圧倒的にボールを支配しながら得点できなかった。ゴールへの最終局面で必要な「個の力」を、中村俊がチームに加える。
ファンタジスタが投げ出したのは、ひらめくパスでなく、自らの体だった。UAE戦前日の攻撃練習。中村俊はMF山岸の左クロスに、ニアサイドに飛び込んだ。体を大きくひねって、ヘッドで狙う。惜しくもゴール右に外れたが、得点感覚が持ち味のFW佐藤と見まがうほどの動きは、見る者を驚かせた。
DFラインの裏を狙う飛び出し、抑えの効いたミドル弾…。いつにも増して積極的にゴールへ向かった。「1タッチ、2タッチで走れ、だけじゃなく。何だっけ、マレーシア? じゃなくマリーシアか。たとえばシュートするふりをしてスルーパスを狙うとか」。攻撃練習では、ほかならぬオシム監督が、そうしたトリックプレーのアイデアを中村俊に授ける場面もあった。自分の裁量でやっていいぞ-。そんな老将の「印籠」を得て、シュンスケの個性はさらに際立った。
個の力、判断の重要性を感じていた。「ボールを、きれいに回しているだけでは怖い攻撃にはならない。つないでいるだけじゃなく最後に個人の力で持っていくことも必要だと思う」と中村俊。9日のカタール戦では、連動した動きとパス交換で相手を圧倒した。だが「陣取りゲーム」では勝っても、詰めの部分で精度と積極性を欠き、追加点を挙げられなかった。
オシム流の「つなぐサッカー」に、縛られ過ぎてはいまいか。危険地帯で簡単にクリアすればいいものを「つなぎ」に固執するあまり墓穴を掘ったのがカタール戦の教訓だったのではないか-。オシム流の殻を時に破り、いい意味での「エゴ」で、チームを引っ張る時が来た。
これまでも欧州クラブを渡り歩き、主力として活躍してきた。代表でもアジアユース以来、多くの国際大会・予選に出場。各カテゴリーの延べ9大会で、コンスタントに得点を重ねてきた。多くの監督に順応しつつも、自分を曲げずに出してきたからこそ、チームも中村俊も向上してきた。世界レベルの強烈な個性が、オシムジャパンに欠けた1ピースを埋める。【塩畑大輔】
[2007年7月13日9時31分 紙面から]
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