高原2発で日本首位だ/アジア杯

- MF遠藤を背負いながらサムアップポーズを決めるFW高原(撮影・宇治久裕)
<アジア杯:日本3-1UAE>◇13日◇1次リーグ◇B組◇ハノイ
【ハノイ=13日】決定力とは、これだ!! FW高原直泰(28)が2戦連発となる2ゴールを挙げ、オシム日本を救った。前夜、不眠に陥った影響で微熱の状態のままでUAE戦に強行スタメン出場。前半22分、MF中村俊輔(29)の左クロスにジャンピングヘッドで先制弾をたたき込むと、同27分には技ありの右足シュートで追加点。3-1の快勝、B組首位を呼び込んだ。後半22分に交代したが、16日の1次リーグ最終ベトナム戦出場に前向きな姿勢をみせた。
スキを逃さない。前半22分、高原がゴール前で危険な香りを漂わせた。動きを察知した相手DFも間に合わない。ゴールラインぎりぎりから上がったMF中村俊のこん身の左クロスに飛び込むように頭を出した。強烈なヘッドによる先制弾。「自分自身が最後のフィニッシュできる場所にいることが大事」。2戦連続のゴールを挙げたが、相手の脅威を与える危険な男は1点だけでは満足できなかった。
その5分後、DF加地の右クロスが目の前でワンバウンドしても慌てない。しっかり胸トラップで落とすと右足を振り抜いた。正確無比のようなシュート弾道がゴール左隅に突き刺さった。「落ち着いて敵の攻めにも対処して、落ち着いて点を取れた。前半で3点取れたし、勝たなきゃいけないゲームできっちり勝って良かった」。少しやつれた雰囲気ながらも、充実した表情を浮かべた。
万全の体調ではなかった。前夜に突然、眠れなくなった。勝たなくてはいけない重要な一戦を前に、気持ちも高ぶっていたのかもしれない。不眠の次にはノドが痛くなった。集中力を高めてピッチに立ったが、試合が経過するごとに微熱を感じ始めるほど、コンディションは悪かった。後半22分には自ら交代を申し出てベンチに下がった。「自分よりも動ける人を入れた方がチームのためにいい。後半の立ち上がりをやったら代わった方がいいと思った」。最悪の体調でも結果を出す。決定力とはこれだ!! と言わんばかりの2ゴールだった。
オシム体制で出場5戦5発。絶好調のエースをオシム監督も絶賛した。「彼がドイツでプレーしているのは偶然ではないということ。『キラー・インスティンクト』(一撃でとどめを刺せる本能)があるからです」。確かにドイツで、追い詰められた時に力を発揮する術(すべ)を会得してきた。昨季、フランクフルトで初めて残留争いを経験。「ネガティブな圧力のような雰囲気があった、優勝争いしているようなものじゃなく、2部に落ちるという中で精神的にしんどかったというのはあった」。瀬戸際での強さ、体調不良のハンディを乗り越えた精神的な強さもドイツで養われた。
これでA代表通算22得点。磐田時代、背中を追いかけた尊敬する先輩FW中山の21得点を追い抜いて、単独6位になった。もちろん、これで満足するはずもない。ベトナム戦まで中2日。「次の準備をしていく。次はやるつもりです。休むつもりはまったくない」。アジア3連覇まで「殺し屋」は休息するつもりはない。【藤中栄二】
[2007年7月14日9時7分 紙面から]
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