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アジア杯2007特集

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俊輔「個の力」が呼んだ先制点/アジア杯

前半、PKを決めるMF中村俊(撮影・ たえ 見朱実)
前半、PKを決めるMF中村俊(撮影・ たえ 見朱実)

<アジア杯:日本3-1UAE>◇13日◇1次リーグ◇B組◇ハノイ

 「個の力」が、組織サッカーに彩りを加えた。MF中村俊輔(29)は前半22分の左CKでショートコーナーを選択。相手の守備態勢が整わないうちに虚を突いて、最後はゴールラインぎりぎりから絶妙な左クロスを上げ、FW高原の先制弾を導いた。代表戦でアシストを決めた試合はこれで1分け挟んで16連勝だ。同42分にはPKを落ち着いて決め、勝負を決定づける3点目。アジア杯3連覇に向け、ファンタジスタがチームを力強く引っ張った。

 とっさのひらめきが、こう着状態を破った。前半22分。中村俊は左CKのボールをセットしたMF遠藤に素早く走り寄った。「相手DFがボーっとしていたから。そういう時は、すぐに始めてしまおうと話をしていた」。ボールを受けるとすぐに反転。ゴール方向に加速した。深い切り返しが、DFを置き去りにする。ラインぎりぎりで左足がすくい上げたボールは、ゴール正面のFW高原の頭をピタリととらえた。

 「ゴールラインから遠い方に走って回るより、オフサイドもないし」と、とっさに選んだゴールへの最短距離も正解だった。DFをあざ笑うドリブル。体勢を崩してでも、目標を正確に射抜く左足。中村俊の「個の力」が集約されたアシストだった。9日のカタール戦では、パスサッカーが相手を圧倒しながら、ゴールへの最終局面で攻撃陣がアイデアを欠いた。「回しているだけじゃだめ。最後は個の力で崩すことも必要」。何度も語った打開策を、自らプレーで示して見せた。

 酷暑のアジア杯を勝ち抜く戦い方にも、1つの手応えを得た。「今日はどれだけいいジャブを打っていけるかが勝負だった」と中村俊はボクシングの駆け引きに例えた。序盤はUAEがうまいボール回しを見せ、決定機もつくった。だが中村俊らのサイドチェンジで走らされることで、徐々に体力を消耗。運動量がみるみる減っていった。「一番いい場面で、いいストレートが入ったということ」。最後は中村俊のアドリブがものをいった先制シーンだが、あくまで伏線があったのだと強調した。

 試合開始直前に、オーストラリアがイラクに1―3と惨敗した姿が、頭の片隅にあった。「W杯の決勝トーナメントにいったチームが、1分け1敗でしょ。何があるか分からない。アジア杯の特徴というものがあると思う。ここでは走れて、かつ技術のあるチームが勝つ」。オシム監督が完成させてきた組織的なチームに、中村、高原らの「個の力」、そして酷暑への対応法までが加わった。「勝利をもたらす三角形」が、中村俊率いるオシムジャパンに、アジアの頂点への道筋を鮮明に示した。

[2007年7月14日9時12分 紙面から]

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