オシム監督、内容に手応え/アジア杯

- オシム監督は、勝利後ピッチに現れFW高原と笑顔で握手
<アジア杯:日本1-1(PK4-3)オーストラリア>◇21日◇準々決勝◇ハノイ
日本代表のイビチャ・オシム監督(66)が、自ら掲げるテーマである「日本代表の日本化」に強い手応えを得た。PK戦は控室に「逃亡」して見なかったが、強豪オーストラリア相手に、高温多湿の気候条件下で120分間「日本らしいサッカー」を貫いた選手を褒めた。就任から1年、若いチームにたたき込んできた「人もボールも動くサッカー」が大一番で機能。これからも目指す純和風サッカーをさらに成熟させる。
いいサッカーができたからこそ、選手たちに勝利を味わわせたかった。120分の激闘を見届けたオシム監督は、首を振り、うつむき加減で控室へと歩みを進めた。完ぺき主義の数学者の背中には、PK戦にもつれ込んだ悔しさがにじむ。「見ていると勝てないというジンクスがある」。ラジオの音声すら拒んで、密室で1人結果を待った。駆け込んだ協会スタッフから勝利を告げられると、再びピッチに現れた。少しだけ口元に笑みがこぼれた。
120分間だけで手応えを感じていた。試合後の会見。「なぜ90分で決着がつけられなかったのか?」との質問の答えに、本音がにじみ出た。「我々が意図したとおり、サイド攻撃などがとても機能していた。ただ相手にいいGKと、いいDFが4、5人いたから。今日日本がやった以上のことがどれだけできるのか、教えてほしい。(MFグレラの)退場の前後を問わず、我々の方がいいプレーをしていたはずだが」。完ぺきな反論を受けた記者は思わず席を立ち、会見場を後にした。オシム監督は「サンキュー」とほほ笑みで見送った。
もちろん、ここで立ち止まるつもりはない。「これで日本化が完成したとは思いたくない」とうなずく。試合後には、決勝で対戦する可能性があるイラク対ベトナムの生中継を見るため、宿舎へ急行。早くも気持ちを次戦以降に切り替えた。チームはまだまだ前進できる―。日本人の勤勉さや動作の機敏さ、器用さを生かせば、世界と渡り合えるサッカーは必ず実現すると信じている。就任からこの日でちょうど1年。欧州とも南米とも違う「日本らしさ」を、サラエボ生まれの求道者が突き詰めていく。
[2007年7月22日8時52分 紙面から]
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