<アジア大会・サッカー:日本4-0ネパール>◇男子1次リーグD組◇21日◇韓国・高陽総合運動場

 U-21(21歳以下)日本代表FW野津田岳人(20=広島)が、3得点に絡む活躍で決勝トーナメント(T)進出に貢献した。勝てば1次リーグ突破が決まるネパール戦の前半33分、利き足の左でドライブシュートを決めて先制。FW鈴木武蔵(20=新潟)の2点目もアシストするなど勝利に導いた。D組を2位通過した日本は25日の決勝T1回戦でパレスチナ(C組1位)と対戦する。

 「ドン引き」のネパール守備をこじ開けたのは、野津田の左足だった。ゴール正面約25メートル。前を向き、左足への集中を極限まで高めた。「インフロントで蹴って落とす」。ボールは無回転で高く上がり、GKの頭上を越えたところで急落。クロスバーをかすめゴールの真ん中に飛び込んだ。

 得点後はコーナーポストへ走り、右手で触って左手を横に広げた。広島の先輩FW佐藤のゴールパフォーマンスで「寿人さんから『点を決めたらやっていいよ』と言われてたので」と照れ笑いした。Jリーグで10年連続2ケタ得点の佐藤に「チームでシュートが一番うまい」と言わしめる、野津田のドライブシュート。前日に直接指導していた手倉森監督も「日本にも大砲があると示せた」と称賛する1発が、1トップ以外の9人でボックスを固める相手を破る突破口になった。

 3トップの鈴木が4点、中島が2点とゴールを量産する中、やっと手倉森ジャパン初ゴールを決めた。1-3で敗れた17日のイラク戦も途中出場で「悔しかった」。それを晴らしたミドルは小学5年から磨いてきた。イラク戦で14本中3本しかシュートが枠内に飛ばなかった一因が、アジア大会の公式球(韓国スター社製)。Jで使用するアディダス社製と比べ「硬くて軽い」と仲間が苦しむ中で「コツを得てるので」と気にしない。国際大会向きの適応力は、リオデジャネイロ五輪予選でも計算できる。

 同じ左利きで尊敬するACミラン本田の1得点(06年ドーハ大会)に並び、後半17分にはパスをスルーして鈴木の得点を演出。25分には左クロスで鈴木の2点目をアシストした。上り調子で迎える25日のパレスチナ戦。「1点取れたので乗っていける」。手堅くなる一発勝負の決勝T。ゴール前を固めてくれば野津田のミドルが真価を発揮する。【木下淳】

 ◆野津田岳人(のつだ・がくと)1994年(平6)6月6日、広島市生まれ。シーガル広島で幼稚園からサッカーを始め、広島ジュニアユースからユース。高校3年時の12年3月17日清水戦でJデビューした。当時は2種登録で13年にトップ昇格。J1通算39試合6得点。15歳から世代別日本代表を経験。175センチ、69キロ。血液型A。