【安山(韓国)23日=木下淳】U-21(21歳以下)日本代表が出場中の仁川アジア大会で、アギーレジャパンの兼任スタッフが、A代表の対戦国情報を着々と集めている。25日の決勝トーナメント1回戦で対戦するパレスチナは、A代表が参加する来年1月のアジア杯(オーストラリア大会)の1次リーグ初戦の相手。手倉森ジャパンに4人いる兼任者が、肌で感じたライバルの最新情報を持ち帰る。

 アジア大会の経験が貴重な蓄積になる。U-21代表が明日25日に対戦するパレスチナは、年明けのアジア杯でA代表も戦う相手。初出場のため情報はほとんどない。09年に日本協会入りし、アジア各国を偵察してきた霜田技術委員長が「これだけ飛び回ってきた自分でも、ほぼ見たことがない」と言うほど不気味な国と手倉森ジャパンが直接当たる。生かさない手はない。

 パレスチナは今年5月のAFCチャレンジ杯で初優勝し、アジア杯切符をつかんだ。その時のメンバーのうち5人が今大会に出場中で、オーバーエージのFWヘラル、DFジャベルはA代表でもレギュラーだ。そことの直接対決で得た生の情報をアギーレ監督に届けるのが、A代表と掛け持ちのスタッフ。コーチ兼任の手倉森監督、リカルドGKコーチ、早川コンディショニングコーチ、湯浅テクニカルスタッフが持ち帰る。

 アジア杯はA代表、アジア大会はU-23代表と違いはあるが、アジア杯に出る16カ国のうち13カ国が今大会に出場中。イラク、クウェートとは既に対戦した。直接対戦のない国でも、現地で放送されるテレビ中継など空き時間を活用してデータを集めている。湯浅氏もコーチ業の合間を縫って偵察しており、霜田氏は「湯浅が韓国に来ているメリットは大きい」と話した。

 アギーレ監督は「25日に来られるかどうか」(霜田氏)と視察は微妙な状況。その場合に備え、U-21代表の有望株と対戦国の情報を持ち帰る準備を進める。

 ◆アジア杯オーストラリア大会

 来年1月9日に開幕し、16カ国がアジアNO・1を目指す。日本は11年カタール大会に続く連覇がかかり、アギーレ監督にとって就任後初の国際大会。1次リーグD組の日本は12日にパレスチナ、16日にイラク、20日にヨルダンと対戦する。大会は5都市で行われ、決勝は31日にシドニーで。優勝国は17年コンフェデ杯ロシア大会の出場権を獲得する。