<アジア大会・サッカー:日本0-1韓国>◇男子準々決勝◇28日◇韓国・仁川文鶴競技場

 またベスト4の壁に阻まれた。連覇を狙った日本が韓国に敗れ、4強入りを逃した。16年リオデジャネイロ五輪を見据えU-21(21歳以下)代表で挑んだが、U-23+オーバーエージの開催国に力負け。超アウェーの中で猛攻をしのぎ切れず、後半43分にPKを決められた。1月のU-22アジア選手権に続いて準々決勝を突破できず、セントラル開催の五輪予選へ課題の残る結果となった。

 赤が黄色を押し込む。「テーハミング(大韓民国)!」の大合唱の中、アウェーユニホームの日本は最後まで劣勢だった。前半29分、GK牲川歩見(20=磐田)がFW李勇載にかわされたが、DF岩波がゴールライン上でクリア。後半37分は崩されてMF李宗浩に無人のゴールを狙われたが、DF遠藤が頭から飛び込み守り抜いた。紙一重の中で「120分勝負」(手倉森監督)に持ち込もうとした。

 しかし最後は、リカルドGKコーチから「上がれ」と怒号が飛ぶほどラインが下がりすぎていた。後半43分、決壊した。主将のMF大島がペナルティーエリア内の空中戦でファウルを取られ、PK判定。これを相手のDF張主将に決められた。「中に流される方が嫌だった。敗因は自分のPK」と責任を背負い込んだ。

 28年ぶりの金メダルなら兵役免除の韓国は、日本と同じ21歳以下の選手ゼロでつぶしに来た。約4万3000人の声を背に球際は強く、出足の鋭さにパスワークを封じられた。足をつる選手も出た攻撃陣は、後半32分までシュートを打てなかった。FW鈴木は「つなぐ怖さがあった」と完敗を認めたが、これこそ手倉森誠監督(46)が求めていた内容だ。今年元日。「五輪予選までに韓国とやりたい。どれだけ成長するか計り知れない」と熱望していた。試合後も「勝つより多くの課題を教えてくれた」と言った。

 一方で敗戦の意味も受け止める。この大会は、来年3月に始まるリオ五輪1次予選と同じ一発勝負。前回ロンドン五輪のアジア大陸枠は3・5で、増減があるにせよ準決勝進出が最低条件だ。いわば「仮想五輪決定戦」だったが、イラクに4強を阻まれた1月のU-22アジア選手権と同様、勝ち抜けなかった。「またベスト8止まり。まだまだ満足しちゃいけないということ」と危機感も口にした。

 帰国予定の今日29日から再出発する。「1月に比べれば成長したけど、今後はもっと競争の刺激を入れる」。3勝2敗の課題と収穫を手に、手倉森ジャパンの今季公式戦が幕を閉じた。【木下淳】