新生日本代表のメンバー発表が19日、東京・文京区のJFAハウスで行われた。バヒド・ハリルホジッチ監督(62)は31人のメンバーを選出。さらに、招集はしないが、けが人などの際に合流させるバックアップメンバーの12人と合わせ、合計43人が名を連ねた。これまでの発表では資料が配られていたが、今回はハリルホジッチ監督がパワーポイントを使ってポジションごとに、個人名を挙げながら紹介するスタイルでスムーズに。異例の招集方式と、劇場型メンバー方式で、ハリルホジッチジャパンは大切な1歩を踏み出した。

 23日からの大分合宿に招集されたメンバーは、31人に膨れ上がった。さらにバックアップメンバーが12人。ハリルホジッチ監督が「2連勝しなければならない」と必勝を宣言した初陣は、代表での生き残りをかけた戦いになる。

 「日本代表は全員に開かれている。その時点でベストパフォーマンスをしている選手を呼びたい。バックアップについては、グループ(リスト)が大きいということだ。国内外の選手に可能性がある。リストに入っていない選手も『準備してくれ』というメッセージだ。競争が始まることを心得てほしい。スター選手でもすぐに替わる。それを期待している」。マイクはあったが、ほぼ地声のまま。厳しい表情で呼びかけた。

 発表方法も、まるで新製品の発表会のような演出だった。W杯などを除けば、メンバーリストを配布するのが通常の代表発表スタイルだった。

 だが、ハリルホジッチ監督は違った。スタッフに、招集する選手1人1人のパワーポイント作成を指示。ポジションごとに個人名を呼び上げた。故障を抱えながら招集した選手を赤に、バックアップメンバーを黄色に色分けした。DFなどは、スクリーン上では左、センター、右などのポジションごとに配置される念の入れよう。作成を担当したスタッフは「2日前に監督から要望がありました」と、細部に徹底する作業で支えた。過去、北京五輪代表の反町監督が、同様に行ったケースはあったがA代表では初めてだ。

 劇場型の代表発表会見を演出をすることで、選出の意図を伝え、競争をあおった。選出、落選した選手個人へのコメントは控えるのが通常だが、FW永井や宇佐美への評価もつまびらかにした。若手や、選出経験のない選手の台頭を期待し「多くの選手にチャンスを与えたい」と、基本的な理念を何度も繰り返した。

 6月以降はW杯予選が始まるため、30人を超える選出は現実的ではない。だが、霜田強化担当技術委員長は「予選以外なら今後もありえる」と、親善試合では大量招集の可能性があることを示唆した。18年のロシアへ向けて、ハリルジャパンがスタートを切った。【高橋悟史】

 ◆14年W杯ブラジル大会日本代表のその後 メンバー23人のうち、アギーレ監督時代も続いて招集されたのは18人で、招集されなかったのは伊野波、山口、青山、大久保、斎藤の5人だった。そこで未招集だった5人のうち、山口と青山の2人がハリルホジッチ監督の初陣で代表復帰。アギーレ体制で招集されていながらハリル初陣のメンバーから外れたのは、柿谷と遠藤の2人(柿谷はバックアップメンバー)。