【シャーアラム(マレーシア)26日=木下淳】リオデジャネイロ五輪アジア1次予選を兼ねるU-23(23歳以下)アジア選手権予選が今日27日、U-22日本-U-22マカオ戦で幕を開ける。大会第1号で勝利に導く決意のエースがFW鈴木武蔵(21=新潟)。3年前の対戦で代表初ハットトリックを達成した吉兆のマカオ戦で、完全アウェーの予選突破へのろしを上げる。

 暑さも心地よくなってきた。マカオ戦と同じ午後4時から始まった公式練習。96年に28年ぶりの五輪切符(アトランタ五輪)を獲得した時と同じシャーアラムスタジアムの気温計は40度を指していたが、FW鈴木はフォーメーション練習で何度もDFの裏を取る動きを繰り返した。「十分に暑熱対策はしてきたし、いけるところまで動きたい」。頭から飛ばす覚悟で1時間10分の最終調整を終えた。

 セットプレー練習の前には主催するマレーシア協会のスタッフが「クローズ(非公開)」と発表したが、日本は「公開でいい」とフルオープン。敵情視察があっても堂々と振る舞い、貫禄を示した。鈴木は185センチの長身を生かしてメーンターゲットに。練習後はマカオメディアに囲まれた。相手のFIFAランク(A代表)は187位。日本の同53位と差はあるが「いつも通り、背後を狙って得点したい」と敢然と答えた。

 得点の予感がする。12年7月、U-19日本代表として前回大会(U-22アジア選手権予選)に出場した。その時も初戦の相手がマカオで、鈴木は後半の約30分間でハットトリック。6-0発進に貢献した。当時の3発はプロでも代表でも初めて。「いい印象が残ってますね。得点できるイメージがある」と記念の日を覚えている。一方、ハット達成後に左の足関節を脱臼骨折。「スライディングで芝に引っ掛かって」全治4カ月の大けがもした。良い意味でも悪い意味でも主役だった、思い出深い対戦。今度はゴールだけで目立つ。

 今回から短期集中開催のセントラル方式で五輪出場権を争う。23歳以下に年齢制限された92年バルセロナ大会以降、初めて国内で予選をしない「完全アウェー」が待つ。6大会連続出場へ、険しい道の始まり-。鈴木のゴールラッシュで初戦から好スタートを切る。

 ◆リオデジャネイロ五輪アジア予選 今回から中立地での短期集中開催(セントラル方式)で五輪出場国を決める。第2回U-23アジア選手権が予選を兼ねており、1次予選(選手権予選)は東西アジアが10組に分かれて行われる(I組の日本は27日にマカオ、29日にベトナム、31日にマレーシアと対戦)。各組1位と各組2位の上位5チーム、さらに開催国カタールの計16チームが来年1月の最終予選(選手権本大会)に進出。同大会の上位3チームが五輪出場権を獲得する。