U-22(22歳以下)日本代表が、U-22マレーシア代表に勝ち、3戦全勝で1次予選を突破した。前半41分、右足首痛を抱えながら強行出場したFW久保裕也(21=ヤングボーイズ)が決勝点となるヘディングゴールを決めた。中1日での3戦目。激しいスコールと田んぼのようなピッチに苦しんだが、最終予選を兼ねる来年1月の本大会(カタール)に駒を進めた。

 最終予選へ導いたのは海外組のFW久保だった。前半41分、DF安在の左クロスに飛び込み、頭でコースを変えて流し込んだ。「感覚でゴールの位置が分かっていた」。手倉森ジャパン4戦目で初ゴール。昨年、FW岡崎に次ぐ日本人2人目の欧州リーグ1試合2発を決めた男の本領だった。

 アジアで日本に勝ち越している古豪マレーシアに苦しめられた。前の試合がスコールで100分中断。脇でしかアップできず「試合前にボールが蹴れなかったのは初めて」(遠藤)と、足首まで埋まる田んぼのようなピッチにぶっつけで入った。転ぶ。球が止まる。反対に前後半で3本も危険なシュートを浴びた。そこを救ったのが久保だった。

 12年に高校生でA代表入り。当時のザッケローニ監督から「五輪代表の核になる」と期待された。あれから3年。第2戦ベトナム戦に南野と先発し、1次予選史上初の海外組として注目されたが、シュート0本。手倉森監督から「はっきり言って『違い』を見せられなかった」と酷評された。

 翌日、同監督から「(本田)圭佑やオカ(岡崎)は合流翌日でも結果を出す」と叱られ「短い時間で合わせるのが代表」と納得。右足首を痛めたが、テーピングで固めて強行出場した。気温差30度以上のスイスから来て「自分の調整に問題があったのかも。物足りなかった」と笑顔はなかったが、結果で面目は保った。

 結局この1点止まりと苦戦したが、来年1月の最終予選切符はつかんだ。久保が次に合流できるのはその時。「もっとゴールしたいし、やることはいっぱい。1人で(点を)取り切る力をつけて帰ってきたい」。日本は昨年1月のU-22アジア選手権8強のため第2シードが濃厚。五輪出場3枠をかけた戦いは厳しいが、そこで救世主になるため欧州で腕を磨く。【木下淳】