【シャーアラム(マレーシア)1日=木下淳】リオデジャネイロ五輪アジア1次予選を兼ねるU-23(23歳以下)アジア選手権予選を突破したU-22日本代表が、国内合宿とJ3の活用で底上げを図る。手倉森誠監督(47)が、秋葉忠宏コーチ(39)を“代行監督”として合宿を行う計画や、J3のU-22選抜に主力を招集する私案を披露。来年1月の最終予選兼本大会(カタール)へ強化を進めていく。チームは深夜に出国し、今日2日に帰国する。

 1次予選突破から一夜明け、手倉森監督は早くも最終予選への1歩を踏み出していた。「もっともっと伸びてもらわないと。選手には『日本に帰って武器を磨いてくれ』と言った」。前日31日のマレーシア戦は1-0の辛勝。FW久保の手倉森ジャパン初ゴールで先制したが、スコールによる劣悪ピッチの中で引いた相手を崩せず、1点止まりだった。

 「タフな大会を無失点で3勝できたのは良かった。ただ、主導権を握れた時に追加点を取れるようにしていかないと」。最終予選に向けた強化の必要性も痛感した。現時点でU-22代表の活動が決まっているのは7月の仙台合宿と12月の海外遠征だけ。9~11月の国際Aマッチデー期間などJリーグ中断期間の活用に関して問われると「朝までスタッフと話し合った中で出たのが、秋葉コーチに強化を任せる案です」。手倉森監督はコーチを兼ねるA代表が基本優先のため、U-22代表が“裏”で合宿しても参加できないケースがある。そこで秋葉氏が“代行監督”を務め、継続的に集まる機会を設ける考えだ。

 J3も活用する。リオ世代強化のため昨年発足したU-22選抜が参戦中。今季は93年1月1日以降に生まれたJ1、J2の日本人選手213人が全員登録された。所属クラブのリーグ戦でベンチ外の選手が参加しているが「今年は積極的な招集にトライしたい。サブなら呼びたいし、試合させたい選手を絞り込む作業も手伝いたい」と話した。

 W杯ブラジル大会が行われた昨年6月もJ3を絡めて強化した。リーグ中断期間を生かして各クラブのレギュラー級を招集。手倉森監督がコーチ登録し、琉球戦→大阪合宿→金沢戦と1週間に3試合して戦術理解度を高めた。年間33試合を有効活用しない手はない。「五輪決勝まで12試合、気付いたら1度も負けなかった-。そんなチームに育てたい」。強化のカウントダウンはもう始まっている。

 ◆リオ五輪への道 来年1月12~30日にカタールで行われる第2回U-23アジア選手権が、アジア最終予選を兼ねている。43の国と地域が10組に分かれて行った1次予選の各組1位と各組2位の上位5チーム、開催国カタールの16チームが出場。上位3カ国が五輪本大会の出場権を得る。組み合わせ抽選会は12月4日。

 1次予選1位はイラク、サウジアラビア、UAE、シリア、オーストラリア、北朝鮮、韓国、日本、中国が確定。2位の上位国もタイ、イラン、ベトナム、イエメンまで決まった。1次予選B組が、開催国パキスタンで起きた自爆テロのため延期になっており、残り2チームは後日決定する。