「丸亀城壁ディフェンス」で1点を守り切る。なでしこジャパンが香川合宿4日目の21日、逃げ切り専用システム「5-4-1」を初テストした。男子の四国学院大(香川)を相手に、ボランチ宇津木瑠美(26=モンペリエ)が5バックの中央に下がり「残り5分間、無失点」をテーマとした戦術を練習。連覇を狙うW杯カナダ大会の準備のため、早ければ24日の親善試合ニュージーランド戦(県立丸亀競技場)でお披露目する。

 丸亀合宿中のなでしこジャパンが、丸まった亀になり自陣を固めた。守備的システムの「5-4-1」に初挑戦。173センチのDF熊谷がクロスを頭ではね返せば、基本陣形「4-4-2」のボランチから最終ラインに入った宇津木が縦パスを通さない。2トップの一角の菅沢も中盤へ下がり、5DF+4MFでゴール前を固めた。1点を守り抜く新オプション。男子の四国学院大から力強く攻め込まれたが、無失点で切り抜けた。

 1点が勝敗を分けるW杯を見据え、今から準備しておく。初めて選手に取り組ませた佐々木監督は「1-0でラスト5分を守りたい時に役割をハッキリさせたくて」と説明。選手も手探り状態で受け入れた。宇津木が「逃げ切りたい局面は必ずある。国内合宿中に引き出しを増やしておくのはいいこと」と納得すれば、MF川澄も「勝ち点3と1では雲泥の差。練習で試しておかないと試合ではできない」。熊谷も「センターバックが3人になって、はね返しやすい」と初実践にしては手応えが強かった。

 その練習中、スタンドに上がって指示を出した佐々木監督は、天守閣から見下ろす武将のようだった。女子サッカー発祥の地とされる丸亀市の象徴、丸亀城。江戸時代の1673年(延宝元)から現存する石垣は高さ60メートル。何と日本一だ。その城下町で合宿し「丸亀城壁ディフェンス」が完成した。「何ですか、それ?」と命名に困惑する選手もいたが、人は石垣。日本一の鉄壁を誇る丸亀から世界の頂を目指す。【木下淳】