女子W杯カナダ大会(6月6日開幕)で連覇を狙うなでしこジャパンは明日24日、国際親善試合ニュージーランド戦(香川県立丸亀競技場)に臨む。本大会の1次リーグ初戦で当たるスイスを想定した相手だが、その初戦に向けてチームに情報提供しているのがMF安藤梢(32=フランクフルト)。スイス代表の女性指揮官、マルティナ・フォス監督(47)はデュイスブルク時代の恩師で、熟知するスタイルを仲間に教えている。

 仮想スイスのニュージーランド戦を2日後に控え、MF安藤の動きがキレを増した。丸亀合宿5日目に行われた紅白戦。2本目で主力組の2トップに入ると、左足ミドルで豪快にゴール右上を射抜くなど2得点。「常にゴールも定位置も奪う気持ちで取り組んでいますから」と涼しい顔で、女子欧州CL優勝メンバーの貫禄を示した。

 MF澤に次ぐ32歳のベテランはピッチの外でも忙しい。1次リーグ初戦で当たるスイスのフォス監督は、デュイスブルク時代の監督だった。09年末から11年2月まで師事したドイツ人。現役時代は女子ブンデスリーガの初代(96年)年間最優秀選手賞に輝いた名MFで「最も言われたのは球際や戦う姿勢。そこを指導されているスイスが初出場の勢いで来ると怖い」と警戒し、宿舎でチームメートに特徴や戦術を伝えている。

 ドイツでプレーすることが多いスイス代表の選手情報も豊富だ。フランクフルトで同僚のFWアナ・マリアは175センチの長身に加え「足の速さはチームNO・1」。国際Aマッチ68戦34発の決定力も誇る。ほかにも「ウォルフスブルクのボランチ(ベルナウアー)やBミュンヘンのFW(バネッサ)は強くて速い」と肌で感じた特長を伝授中だ。

 チームとしても、既にスイスのDVDだけは全選手に渡している。情報と映像で効果倍増。安藤に負けじと、DF熊谷もリヨンのFWディッケンマンを「シュートがめっちゃうまい選手」と紹介する。国内組の澤は「欧州の話をこの合宿中にいろいろ聞きたい」と歓迎。安藤ら欧州組の情報が頭にあれば、予行演習のニュージーランド戦の意味合いも強くなる。【木下淳】