なでしこジャパンMF澤穂希(36=INAC神戸)にとって、1年ぶりの復帰戦など大きな問題ではない。連覇に挑む女子W杯カナダ大会(6月6日開幕)に向け、今日24日の親善試合ニュージーランド戦は10番を背負って先発が確実。冒頭15分のみ公開された前日練習後、澤は「1年ぶりとはいえ、他の誰よりも(過去の)出場試合数は多い。緊張はしますけれど、いい緊張感です」と胸を張って言い切った。

 日本代表197試合出場は男女通じて最多だ。男子最多152試合のG大阪MF遠藤を、はるかにしのぐ経験がある。82得点も、68年メキシコ五輪得点王の釜本氏の75点を、11年女子W杯ドイツ大会で上回っている。カナダでの1次リーグ初戦の「仮想スイス」として臨む一戦は、澤にとっては節目の「仮想200試合」でもある。前回大会は初戦のメキシコ戦でハットトリックを決め、得点王&MVP獲得。「初戦につながる、いい試合になればいい」。質の高いロングボールや、体力に優れる相手のイメージを描けている。

 佐々木監督も「キャンプではチームの危機感とかを彼女の背中で感じている」と表現し、守備だけでなく得点にも意欲を見せる姿を高評価した。国内のファンの前で得点を決めれば、12年ロンドン五輪前の壮行試合オーストラリア戦(国立)以来1047日ぶり。「出るチャンスがあればつかみたい」。澤が復帰弾で、なでしこへの熱狂も加速させる。【鎌田直秀】