とにかく高い。GK山根恵里奈(24=千葉)は前半35分、相手の右CKで飛び出した。「最初はパンチしようと思った」。ボールに向けてジャンプすると相手は誰も届かない。「とれそうだな」と楽々キャッチ。1点リードの後半4分には相手のPKで仁王立ち。「来たら絶対に止める」。右に跳ぶと、相手のシュートはバーを越えた。超大型GKが「仮想スイス」を無失点。「今までの試合で一番落ち着いていた」。

 なでしこジャパン長年の懸案を一気に解決する可能性を秘める。187センチ、79キロは男子代表のDF吉田麻也(189センチ、78キロ)に匹敵。ハイボールへの対処は日本の苦手分野だったが、山根は「クロス対応は自分のストロングポイント」という。176センチの長身FWアナ・マリアらがいるスイスにも高さで勝てる。山根はこの日で57歳になった佐々木則夫監督に向けて「高校のころから目をかけてくれた監督に無失点でいいプレゼントができた」と喜んだ。

 佐々木監督は山根について「ボールにチャレンジできるようになった」と褒めた。最後の10分は守備的な「4-1-4-1」もテストして競り勝ち「結果的に失点せず、よしとします」と口にした。【益田一弘】