守備のエースも復活だ。なでしこジャパンMF阪口夢穂(みずほ、27=日テレ)が、フル出場でイタリア撃破に導いた。昨年5月25日の女子アジア杯決勝以来約1年ぶりにボランチ澤とのコンビで先発。攻める10番の後方をカバーした上で縦パスも通し、後半23分のCKでは、頭でたたきつけたボールがクロスバーを越えて「やっちゃった」と笑った。過去7戦全敗の難敵を意気消沈させる力強さだった。

 ボランチの中心は阪口ということが起用でハッキリした。後半17分に澤が退いた後は宮間と組んで24分間プレー。41分からロスタイムも含めた7分間は川村と中盤の底で並んだ。それぞれの特徴も把握し「澤さんの時は後ろでボールを配り、宮間さんの時はバランス重視。(川村)優理の時は自分が上がる」と柔軟に動く。W杯は決勝まで7試合。36歳の澤のフル回転は難しい状況だけに、誰とでも合う阪口を核に据える。

 今月2日に「人生で初めて」右足首を捻挫した。合宿の序盤は別調整を強いられ、24日のニュージーランド戦も温存されたが「もう大丈夫」。90分間で、たっぷり存在感を振りまいた。「今日のゲームは夢穂に任せ切りでした」。澤の言葉が、阪口の信頼度の高さを物語っていた。【木下淳】