【バンクーバー(カナダ)2日(日本時間3日)=鎌田直秀】なでしこジャパン佐々木則夫監督(57)が、スイス国営放送の敵情取材に過敏に反応した。MF澤穂希(36=INAC神戸)の密着取材を知ると、急きょ今日3日(同4日)の練習を非公開に変更。8日(同9日)の女子W杯カナダ大会1次リーグ初戦スイス戦に向け、情報漏れを恐れた。一方、取材を受けた澤は毅然(きぜん)と応対し、女王の貫禄を見せた。

 佐々木監督は、人工芝初の本格的な練習に満足な表情を見せた。午前はミドル、PKも含めたシュート練習で、なでしこたちに打たせまくった。午後はスイスDF陣を想定した攻撃の動きなどを取り入れながら、1対1やサイドからのクロスボールからシュート。先月末の壮行試合2戦後「打たないのは病気」としていただけに「意識づけはよくなった」と笑顔だった。

 だが、スイス国営放送が7人のスタッフを動員し、澤の密着取材でカメラを回していたことを知ると表情は一変。「ちょっとまずいよなあ」と慌てた。「明日も来るのか?」と動揺しながら報道陣に逆取材。「スイス戦のメンバーを決める紅白戦もやる。秘密練習にしなきゃ。日本人だけはいいって言うと、国際問題になっちゃうからな」。今日3日(同4日)の練習を、冒頭15分以外の非公開に急きょ変更した。

 DFを振りきってゴールを決めるなど存在感を見せつけた澤は、スイス報道陣の質問に冷静に対応した。日本の成長点、6大会連続W杯出場への思いなどを答え、「注目されるのは世界に認められたという光栄なこと」と堂々としていた。