DF上尾野辺めぐみ(29)は2度目のW杯に再び“姉妹”で臨む。なでしこにはFW大儀見とMF永里の姉妹がいるが、もう1組。特別な2人がいる。上尾野辺とMF川澄。ともにキュートな2人は同じ神奈川出身。出会いは小学2年のころまでさかのぼる。女子チームの林間SCレモンズ(神奈川・大和市)で出会った。

 上尾野辺の母いづみさんは懐かしそうに振り返る。「当時は背格好もヘアスタイルも同じ。いつも一緒にいたから『双子ですか?』って何度も聞かれました」。それからずっと親友で家族ぐるみの付き合い。4年前のドイツではともに頂点に立った。世界一のメダルは、2人だけのために作られたおそろいの箱に保管されている。川澄の家族の知人が2人のためだけに作製してくれた寄せ木細工の逸品だ。

 ただ、12年ロンドン五輪では上尾野辺はバックアップメンバー。チームに同行していたが、主力で銀メダル獲得に貢献した川澄と一緒にピッチに立つことはできず、メダルを手にすることはできなかった。

 そんな時、日本の頑張りに拍手しつつ、娘の胸の内を案じる母いづみさんに英国から1通のメールが届いた。差出人は川澄。添付された写真は川澄のメダルを首からかけてもらった笑顔のツーショット。文面は「2人で取ったメダルだよ」-。絆は、血のつながった姉妹や双子より深い。

 実家に保管されている寄せ木細工の特製箱には、もう1つメダルを加えるスペースがある。DFから中盤まで幅広くこなす上尾野辺が川澄と“姉妹”で2連覇に向かう。【八反誠】