なでしこジャパンMF澤穂希(36=INAC神戸)が「クローザー」としてW杯連覇を導く。野球で言えば、勝利をつかむための抑えのエース。前回大会では先発完投型だったが、苦しい場面を救う大黒柱として、佐々木則夫監督(57)も指名した。澤は7月1日(同2日)の準決勝イングランド戦に向けて、FW岩渕真奈(22)ら控え組だけで約1時間半の調整を行った。

 W杯史上初の5戦連続1点差勝利で勝ち上がってきた日本にとって、抑えの切り札の重要性は高い。1点リードの場面だけでなく、同点、もしくは1点ビハインドの場面でも起用される公算は大。ドイツ大会決勝米国戦で見せた同点弾のような活躍も、体力を残した状態でこそ確率は高まる。本人は先発して貢献したい気持ちはあるはず。だが澤は「チームが勝つために自分のできることをやるだけ」と役割を全うする覚悟はできている。

 ピッチ内外問わず、MF宮間主将の相談相手になったり、最年少の岩渕らと積極的にコミュニケーションを図るなど、存在感は絶大だ。13年6月の英国遠征を直前のケガで不参加だった澤にとって、イングランド戦はW杯で敗れて以来の雪辱戦でもある。ライバルで親友でもある米国代表FWワンバックとの決勝での再戦を目指す。なでしこにとって澤の「ストッパー」起用が、勝利の方程式となる。