FIFAランク4位のなでしこジャパンが、同6位のイングランドを下し、2大会連続の決勝進出を果たした。

 MF宮間あや(30=岡山湯郷)が度胸と技術を駆使して、先制のPK決めた。ボールをセットし、身長158センチの宮間が、180センチのGKバーズリーと対峙(たいじ)する。イングランドサポーターからの大ブーイングは「まったく気になりません」。主審の笛が鳴っても、ゴールを見つめて動かない。5秒後、遅延行為を取られそうなぎりぎりのタイミングで動き出した。

 細かくゆっくりとステップを踏み、GKの動きを凝視する。相手が右に倒れ込みかけた瞬間、左隅に決めた。笛が鳴ってから11秒後、14歩目で蹴り込んだ。ゴール後は珍しく、ベンチの仲間へ走り、喜びをわかちあった。「今大会なかなか、そういう機会が少なかったので良かったと思います」。

 GKの逆をつく左隅へのキックは、練習を積み重ねた「宮間流」だった。軸足となる左足の角度はゴール右隅方向に固定したまま助走。そのまま踏み出し、蹴る際に腰をひねる。体をコマのように左回りで1回転させながら、左隅にボールを運ぶ。蹴るコースを読ませない綿密な技術だった。「落ち着いて決められたのは良かった」と冷静に振り返った。

 これで、今大会のチーム9得点中、得点者は7人+オウンゴール。宮間はいずれもPKだが個人2得点目はチーム初。決勝の米国戦でも、宮間の両足から繰り出される正確なセットプレーが、重要な得点源となる。【鎌田直秀】