東アジア杯が開幕し、女子はなでしこジャパン(FIFAランク4位)が北朝鮮(同8位)に完敗した。平均年齢23・7歳の若手国内組が主体の日本は、4失点と経験の少なさを露呈しながらも新星たちが期待に応えた。19歳のMF増矢理花(INAC神戸)が約10カ月ぶり、MF杉田亜未(23=伊賀)が初ゴールを挙げた。4チームがリーグ戦で争い、次は4日に韓国(同17位)と対戦する。

 2人の若きなでしこの“チャレンジ”が成功した。U-23(23歳以下)日本代表にも名を連ねる増矢と杉田が得点を挙げた。気温35度の暑さの中、佐々木監督が「チャレンジなでしこ」と命名した新星たちがきらめいた。

 最年少19歳の増矢が大きな存在感を見せた。0-1の後半4分、MF上尾野辺のワンバウンドした右FKを落ち着いてトラップし、右インサイドでゴール右隅に突き刺した。「いいところに来たので決めるだけだった。ゴールに絡むことができたのは良かった」。前半から果敢にドリブル突破を見せ、同じINAC神戸の先輩FW高瀬も「今日は調子がいいのが分かったので、決めると思った」とうなずくほどだ。

 昨年9月の仁川アジア大会で代表初招集。その大会前の練習では「緊張で、もうおなかが痛い」と気負っていたが、準々決勝の香港戦では初ゴールを含む2発。この貴重な経験は増矢にとって大きかった。「いつまでも世代交代できていないのは、日本ぐらい。私たちが練習からリードするくらいじゃないと」。迎えた今夏、W杯カナダ大会で準優勝した先輩たちの背中を見て追い越す決心をした。

 後半26分には、1-2から杉田が豪快ミドルを突き刺した。約30メートルの右足シュートに「人生で一番長いゴール。打った瞬間に入ると思ったほど完璧に当たった」。代表初先発で初得点。U-23代表では主将を務める努力家が「素直にうれしい」と喜んだ。

 中学時代は大和シルフィードに所属し、川澄や上尾野辺の後輩にあたる。この日、上尾野辺とともにピッチに立ち、右サイドとボランチをこなした。「上尾野辺さんと話し合って、うまくできた」。W杯カナダ大会直前に行った国内合宿に参加した実力の持ち主。カナダには行けなかったが、悔しさを押し殺して日本で映像にかじりついた。「同じポジションの阪口さんは、味方がパスを出しやすいポジションにいる」。足りないところを吸収した。

 アジアで日本に劣らない最強のライバルに完敗したが、リオ五輪に通じる道は見えてきた。【小杉舞】