【武漢(中国)6日】日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(63)が、2試合2得点と大会ワーストの危機に直面する攻撃陣にてこ入れした。韓国戦から一夜明けた公開練習は、13分58秒の青空ミーティングから始まった。韓国戦のFW陣はピッチに立った6人でシュートわずか2本。9日の中国戦で勝利するため、FW武藤雄樹(26=浦和)宇佐美貴史(23=G大阪)浅野拓磨(20=広島)に熱心な個人指導を行った。

 さんさんと照りつける太陽の下、ハリルホジッチ監督は、大きな身ぶりで話し始めた。直立不動のまま耳を傾ける23人の選手に“お説教”が止まらない。特にFW陣をやり玉に挙げ、13分58秒もの間、1人で一方的にまくし立て続けた。終わった瞬間、選手が一斉に水を飲み始めるほど熱い時間だった。

 「昨日、DFラインはよく戦った。あとは攻撃だ。世界で戦う場面では、フィジカルをつけないと厳しくなっていくぞ。君たちはW杯(ブラジル大会)でコートジボワールやコロンビアに負けただろ」

 攻撃陣がアジアの壁にぶち当たっている。ここまでわずか2得点。中国戦で無得点だと、これまでの大会最低得点数、3戦計3点を下回る。前日5日の韓国戦では、FW陣6人でシュートが宇佐美と倉田の2本だけ。全体でも計6本で、就任6戦目で最少本数。1桁シュート数は初。シュート数が相手より下回った(6本-11本)のも初めてだった。

 この惨状に前日まで弱音ばかり吐いていた指揮官も一変。アップを終えた武藤を呼びつけ、通訳を介して個人指導。「1試合走り切る体力をつけないと」。筋力などの数値を見せ、クラブへ帰って行うトレーニングの「宿題」を提示した。

 6対6のミニゲーム中には宇佐美を呼び止め1対1で話し合い。練習後は、浅野に自らボールを使って手本を示した。韓国戦でファーストタッチに失敗し、シュートまで持って行けなかった点を指摘。浅野は「入る入らないよりもシュートを打っていかないといけない」と気持ちを引き締めた。

 中国戦で引き分け以下だと大会史上初の最下位が確定してしまう。1勝も挙げられなかったことも過去5大会、例にない。最終戦で求められるものは、得点と勝利だけだ。【小杉舞】