日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(63)がW杯アジア2次予選シリア戦(8日、中立地オマーン)を大一番と位置付けて臨む。1日の代表メンバー発表会見で「一番難しい、重要な試合が来た」と表現。FIFAランクは日本の55位に対し、123位と格下で過去A代表での対戦では1度も負けたことがない(7勝1分け)が「絶対に勝たないと。悪い結果だと1位の可能性がなくなる」と緊迫感をにじませた。

 目標のロシアはまだはるかかなたに位置するがハリルホジッチ監督にとって、絶対に負けられない戦いが早くもやって来たようだ。指揮官はシリアを2次予選E組の最大のライバルと位置付けた。通算2勝1分けの日本とは対照的に相手は絶好調。「シリアはグループの1位。彼らは3戦3勝。13得点で失点0だ」とわざわざ紹介。その上で「絶対に勝たないと。悪い結果だと1位の可能性がなくなる」と言った。敗れるようなことがあれば自力1位突破の可能性がなくなる。

 危機感も分かる。だが、ハリルホジッチ監督がはっきりと把握していなかった相手のFIFAランクは123位。日本は55位で完全に格下。過去A代表での対戦では1度も負けたことがない(7勝1分け)。開催中のラグビーW杯イングランド大会で南アフリカから大金星を挙げたエディージャパンを引き合いに出し「彼らのコーチの1人が言っていた。『日本人は(相手を)リスペクト(尊重)し過ぎだ』と。それをサッカーの選手にも感じることがある」と持論をまた口にした。油断は禁物だがシリアをリスペクトし過ぎているのは監督本人かもしれない。

 会見ではぶ厚い資料の束を手に「すでにここにシリアの分析がある。個人の長所、短所まで8試合、全部見て知っている。どのように誰がプレーするかも分かる」と胸を張った。相手のFIFAランクのチェック不足は少し不安だが…。

 今回も準備期間の短さ、国内組のけが人の多さを嘆き、ずっと叫び続ける日程問題をチクリとやることも忘れなかった。シリア戦後の親善試合イラン戦では「おそらく何人かの選手をトライしたい。親善試合なのでリスクを冒す」とイメージを膨らます。それもこれもシリア戦の勝利の先にだけある。絶対に勝ち点3が必要だ。【八反誠】