【テヘラン(イラン)12日=塩畑大輔、栗田成芳】サッカー日本代表(FIFAランク55位)は今日13日、イラン代表(同39位)との国際親善試合に臨む。バヒド・ハリルホジッチ監督(63)が初めて指揮した3月のチュニジア戦から200日。14年W杯ブラジル大会16強に導いたアルジェリア代表では、後にチームの柱となるMFソフィアン・フェグリ(25=バレンシア)を重用しだした時期に当たる。アジア最強との一戦は、今後の日本代表内の勢力図を占う場になる。試合前日は、会場となるアザディスタジアムで最終調整した。

 巨大なスタンドが取り囲む、アザディスタジアムのピッチ。ハリルホジッチ監督はイラン戦の前日練習で、ラグビーのように手でパス交換するメニューを課した。W杯3勝を挙げたラグビー日本代表への敬意を示すような一幕。そして脳裏ではサッカー版「ジャパン・ウェー」のイメージを徐々に明確にしている。

 選手起用について「おそらく50%の変更があると思って間違いない。リスクはあるが、他の選手をトライして可能性をみたい」と明かした。日本人選手の技術、身体的特徴は完全にインプット。日本人の気質もだいぶ把握した。18年W杯ロシア大会に向けたテストは、いよいよ本格化する。

 初指揮からちょうど200日。アルジェリア代表を指揮した際も、ちょうどこの頃から本当の意味での「ハリル色」を出し始めていた。12年2月。ハリルホジッチ監督は初指揮から180日目のガンビア戦で、22歳のフェグリを代表デビューさせた。有望株はそれ以降、不動のレギュラーになり、14年W杯ブラジル大会でも、試合ごとに先発が入れ替わる中、ひとり常時スタメンでプレーした。

 同じ時期、同じ年代、同じタイプとして、日本代表ではハリルホジッチ体制で初招集のFW南野がフェグリに重なる。同監督は「攻撃面でかなり興味深い選手。常に動き回り、頻繁にゴール前に現れてはシュートを打つ」と評価する。当時のフェグリより若い20歳。スピードあるアタッカーとして、サイドで起用するところまで同じだ。「きちんと所属クラブで結果を出せば、来年、再来年には代表に定着しているだろう」とまで言った。

 もちろん、他の選手にもチャンスはある。イラン戦の交代枠は6。FW宇佐美、武藤はもちろん、南野と同じハリル体制初招集組のDF塩谷、MF柏木らも、出場機会を得る可能性は十分ある。真のハリルチルドレンが、今夜テヘランで生まれるかもしれない。

 ◆ソフィアン・フェグリ 1989年12月26日、フランス生まれ。下部組織を経て06年に当時フランス2部のグルノーブルでプロデビュー。クラブの1部昇格に貢献し、10年にバレンシアに移籍。U-17、21フランス代表の経験を持つが、11年からアルジェリア代表に招集され、12年2月ガンビア戦で同代表デビュー。14年W杯では同国7大会ぶりとなるゴールを決め、チームの16強入りの原動力になった。177センチ、75キロ。

 ◆歴代日本代表監督の初指揮から200日 前任のアギーレ監督は今年2月3日、初指揮から151日で八百長関与疑惑のため解任された。14年W杯ブラジル大会まで率いたザッケローニ監督は、初指揮から189日目の11年3月11日に東日本大震災が発生。直前1月のアジア杯では優勝していた。脳こうそくで倒れたオシム監督の後を受けた岡田監督は08年8月20日に、就任207日目で強豪ウルグアイと国際親善試合で対戦。10年W杯南アフリカ大会の守備のキーマンとなったMF阿部を先発に抜てきした。