U-23(23歳以下)日本代表が今日11日、ガーナA代表(FIFAランク38位)とベアスタで国際親善試合を行う。先月発生した熊本地震の復興支援チャリティーマッチで、同県宇土市出身のDF植田直通(21=鹿島)は、先発が確実。地震後に1泊2日の支援活動を強行した男が、観戦に訪れる家族、友人、被災した故郷へ恩返しの勝利を贈る。

 心からの感謝を、両手での握手に込めた。植田は10日の公式練習前、募金してくれた約100人全員の目を見て「ありがとうございます」と手を握った。手倉森監督、前J2熊本のMF橋本と練習時間ギリギリまで残り「熊本から来てくれた人もいた。ガーナ戦で戦う姿勢を見せたいし、見せて初めて結果がついてくる」と言った。一般公開された雨中の練習では主力組の右センターバックとして、リオ五輪の初戦ナイジェリア戦を想定した試合に備えた。

 代表になって、初めての九州での公式戦。絶対に負けられない一戦になった。先月16日に本震が発生。同日の、湘南戦後の取材では涙を流して故郷を思い、翌17日から1泊2日の強行軍で避難所に向かった。支援物資を配った中で「いい環境でサッカーできることが、当たり前じゃないと分かった」と価値観が変わった。「元気を与える側なのに『頑張って』と言ってもらった」ことが記憶から消えず「結果を出して、少しでも勇気を与えないと」と燃える。

 海辺の家から高台に避難し、車中泊を余儀なくされていた家族も応援に来てくれる。「家族も友人も、いつも応援してくれる」と感謝を力に変え、熊本・大津高の同期で今回は負傷離脱したMF豊川についても「あいつの分まで熊本、九州のために戦いたい」と覚悟した。左目が8日磐田戦での接触で青く腫れているが「影響は全くない」。負傷とは比較にならないほど苦しむ故郷を思い、愚直に勝利へ突き進む。【木下淳】

<日本協会とU-23日本代表がガーナ戦で行う復興支援活動>

 ▼寄付 経費を差し引いた試合の収益全額を熊本県義援金口座、サッカーファミリー復興支援金口座へ。

 ▼募金活動 手倉森監督と選手が公式練習前に、日本協会の岡田副会長や鳥栖の選手が試合当日に実施。

 ▼招待 被災した益城町と西原村の4種登録(小学生)のチームの約200人を試合に招待。計24人がボールボーイ、旗を持つフラッグベアラーとして参加。

 ▼慈善オークション 日本協会オフィシャルショップで後日、ガーナ戦で選手が着たユニホームやTシャツ(各選手1枚サイン入り)、手倉森監督と全23選手のサイン入り試合球などが出品され、売上金を寄付。