トゥーロン国際に出場したU-23(23歳以下)日本が最終戦でU-22イングランドに0-1で敗れ、1次リーグを1勝3敗の4位で敗退した。負傷者が相次ぐ中、期待された新戦力は国際経験の乏しさを露呈。4試合中3試合で先制されるなど世界との差を痛感し、8月のリオデジャネイロ五輪に向けた多くの課題が表面化した。チームは今日29日に帰国する。手倉森誠監督(48)はブラジル視察に向かった。

 リオ五輪の前哨戦は力負けで幕を閉じた。上背も横幅も、日本を大きく上回るイングランドに前半15分、先制PKを献上したDF三丸は「体格差があるのに軽率に足を出してしまった。フィジカルがある上、ボールを自在に操っていた印象」と差を突きつけられた。けが人も続出し、169センチの喜田がセンターバック(CB)でフル出場。途中から井手口が左サイドバックに回る異例の戦局だった。

 負傷とA代表に招集されたFW浅野の離脱で、最後は16人。同じくA代表に呼ばれながら人手不足で大会に残ったMF大島は「疲労で流動的な攻撃が鳴りを潜めた。ブラジルでの中2日は暑さも加わり、もっと疲弊すると思う」とシミュレーションを強調したが、唯一の健在CBとして中1日の4連戦にフル出場した植田は、言い訳しなかった。「勝ちたい気持ちが弱いと感じた。負けたら終わりの最終予選のように、何か懸からないと力が出ないようではダメ。このままでは必ず五輪で痛い目を見る」。

 その五輪1次リーグで当たるアフリカ、南米、欧州勢と対戦し、4試合中3試合で先制された。先に失点した試合は通算1勝1分け6敗と分が悪いが、世界相手に軽々と逃げ切られた。手倉森監督は「追う展開はパワーが必要。しんどい、疲れた、悔しかった。その感情を糧に、3つ負けた分をリオで取り戻す」。失点は、いずれもミス。五輪本番では命取りになる。

 残る強化の場は、6月29日の南アフリカ戦と直前合宿中の練習試合しかない。新戦力の台頭はなく、手倉森監督は「経験不足から同じミスを繰り返した」と複数選手の落第を示唆した。「けが人の回復を待たないといけない」。最終予選の主力だったFW久保やDF室屋の回復に期待する総括が、苦境を物語っていた。【木下淳】