日本代表MF遠藤航(23=浦和)が、キリン杯を皮切りに出世街道を突き進む。3日のブルガリア戦(豊田ス)で、A代表では自身初めて欧州勢と対戦する。リオデジャネイロ五輪に出場するU-23(23歳以下)代表では、7月30日にU-23ブラジル代表との国際親善試合が決定。二足のわらじを履くボランチは激しい定位置争いを制し、9月開幕のW杯アジア最終予選、さらに18年W杯ロシア大会へとステップアップしていく。

 最強ホスト国との前哨戦を、愛知・豊田市内での練習後に知らされた。遠藤は、五輪直前のブラジル戦決定を聞き「そうなんすか!?」と目を見開いた。少し気持ちを整理すると「いい相手だと思う。強いチームとやっていった方がいい。ブラジルは僕らとやって負けられない状況。力を発揮してくると思うので、しっかりと対抗していきたい」とキッパリと言った。

 金メダル筆頭候補には、あのネイマールがいる。スペインで2年連続2冠を果たしたバルセロナのFWはオーバーエージ(OA)枠で出場確実。ボランチや、けが人続出のセンターバックとしてマッチアップする可能性がある遠藤は「楽しみっす。独特なボールの持ち方をする。情報は(映像などで)嫌でも入ってくるので、対応の仕方はイメージできると思う」。即座に想像を膨らませた。

 リオへの道の前には、キリン杯で成長するチャンスがある。昨夏の東アジア杯でA代表デビューをしてから、ここまでの5試合はすべて対アジア勢。初戦で対戦するブルガリアは欧州選手権出場こそ逃しているが、日本が過去1度も勝っていない東欧の強豪国だ。長谷部、柏木、さらに原口がコンバートされるボランチで「いろんな選手がそろっている。競争がし烈だとイメージしてA代表にきている」と、今後につながるA代表での定位置争いは望むところだ。

 ハリルホジッチ監督はリオ五輪後、W杯ロシア大会のかかるアジア最終予選で、若手の積極起用を視野に入れる。同監督から「パワーがある。若いがしっかりして質も高い」と評価を受ける遠藤は、その筆頭候補の1人。「自分はスタメンが確立されている選手ではない。プレーに集中して自分の良さを出しながら、連係を深めていきたい」。若手らしからぬ老練なプレースタイルが言葉からにじみ出ていた。【栗田成芳】

 ◆遠藤航(えんどう・わたる)1993年(平5)2月9日、横浜市生まれ。湘南ユース時代の10年に高3でプロデビュー。同年12月の新潟戦で初得点を挙げ、翌11年に正式にトップ昇格。昨オフ湘南から浦和へ完全移籍。各世代の日本代表を経験し、昨年7月にA代表初選出。国際Aマッチ5試合無得点。既婚。178センチ、75キロ。