U-23(23歳以下)日本代表が今日29日、リオデジャネイロ五輪前の国内最終戦でU-23南アフリカ代表と対戦する。途中出場が濃厚なMF伊東純也(23)は自慢のスピードで生き残りを狙う。この試合に出た上で本大会メンバーに選ばれれば、史上3人目の国際試合出場「1」での五輪選手となる。この一戦を最後に絞り込まれる本大会メンバー18人は、7月1日午後2時から発表される。

 普段はひょうひょうとしている表情が、どんどん引き締まった。長野・松本合宿3日目。途中出場が濃厚な南アフリカ戦に向けて、伊東は「いつも通りやります。緊張はない」と平常心を強調した。「ラストチャンス。得点までいきたい。スピードだけではないところを見せたい」。言葉が熱を帯びる。途中出場予定の右サイドハーフをはじめ、FWもサイドバックもこなせる。50メートル走は推定5秒台後半だ。本大会初戦で対戦するナイジェリアを仮想した相手との一戦で、自慢のスピードを示せれば、リオ五輪への可能性が広がる。

 生き残れば、史上最大級の下克上となる。23歳以下の手倉森ジャパンで国際試合出場がなく、南アフリカ戦に出れば出場記録にようやく「1」が付く。五輪メンバー発表日を出場1試合だけで迎え、選ばれれば、00年シドニー五輪のMF西(磐田)、08年北京五輪のMF香川(C大阪)に続く史上3人目。その前例を伝え聞くと「そうなんですか? 別に、何かピンとこないですね~」。無欲だったものの「持てる力を出したい」と意気込んだ。

 昨年11月の神奈川・平塚合宿で初招集されたが、今年1月のアジア最終予選メンバーからは外れた。今年5月にガーナA代表との親善試合メンバーに再び選出されたが、今度は全治1週間の左足の長母趾(ちょうぼし)屈筋挫傷で離脱。アピール機会を失い落胆したが、最後にチャンスがめぐって来た。「プロになってから五輪は近い目標でした」。快足を飛ばして一気に成り上がる。【上田悠太】

 ◆伊東純也(いとう・じゅんや)1993年(平5)3月9日、神奈川県生まれ。逗葉高-神奈川大。大学3年時に関東大学2部の得点王、4年時にアシスト王。大学ではU-23代表MF遠藤と同学年で面識があった。15年に甲府入り。1年目からリーグで30試合4得点、J1残留に貢献。オフに柏へ完全移籍。第1ステージ通算16試合2得点。176センチ、68キロ。血液型A。

 ◆香川と西のサプライズ選出 2人とも五輪メンバー発表の段階で、U-23日本代表の国際試合出場歴が「1」だけだった。香川は12年のロンドン世代で、飛び級のため単純に出番が少なかった。西は、五輪イヤーに2度の大けがを負ったため出場機会を増やせなかった。しかし、トルシエ監督から「突破力、スピード、力強さ」を評価され、MF小野に代わって滑り込んだ。2人は18人に入った後、壮行試合2試合に出場。出場試合「3」で五輪を迎えた。今回の伊東が選ばれることになれば、7月30日のブラジル戦を含め2試合以下で本番に。史上最少となる。