日本の10番はオレだ! リオデジャネイロ五輪に出場するU-23(23歳以下)日本代表が、U-23南アフリカ代表に4-1で快勝した。手倉森監督から背番号10を剥奪され、「13」を背負ったFW中島翔哉(21=東京)が、2ゴールを含めて3得点に絡んだ。右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷から同代表では2カ月半ぶりの復帰戦で存在感を示した。五輪代表メンバー18人は明日7月1日午後2時から発表される。

 南アの守備の編み目をかいくぐり優しさが詰まったボールを、背番号13のFW中島が無人のゴールへ流し込んだ。0-1の前半37分、GKと1対1のMF大島がシュートではなくパスを選択。ゴール前、フリーの状況で「あの人は優しい人。パスをくれる前に目が合ったからくるかなと思った」。少し力んだ左足シュートでゴール右ポストギリギリに決めた。右膝負傷による離脱から2カ月半ぶりの代表戦で同点弾を決めると、エンジンを全開にした。

 前半45分にMF矢島へのロングパスで起点となって勝ち越しを演出すると、ロスタイムに164センチの体でヘディングシュートを決めた。2トップを組む浅野から届いた右クロス。目いっぱいのジャンプで合わせ「自分がヘディングで決められるなんてめったにない」。その背中には、チーム発足から背負い続けた10番はなかった。「自分の力で奪い返せ」とゲキを飛ばした手倉森監督に結果で応えた。

 「テグさんがそうやってプレッシャーをかけるということは自分を五輪に必要だと思ってくれているからだと思う。それに10番はピッチで一番うまい選手がつける番号。メッシだってそう」。3点に絡む活躍でメンバー入りと同時に“奪還”をアピールしたが、視線は五輪本番に向いていた。

 けがで欠場した5月のトゥーロン国際。深夜に都内の自宅のテレビで見た日本は「メンバーに選ばれるためにやっているようだった」と映った。五輪に行くためではない、世界で勝つためにどうすればいいのか。そう思うからこの日の活躍にも「南アはコンディションが良くなかった。これは参考にしない方がいい」と決して満足はしない。

 「メダルを取れるように1日1日を大事にして頑張りたい」。悲願のメダルを日本にもたらすため“10番”の中島が帰ってきた。【栗田成芳】