プレーバック日刊スポーツ! 過去の7月25日付紙面を振り返ります。2014年の1面(東京版)はサッカー日本代表新監督にハビエル・アギレ氏が就任発表のニュースでした。

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 日本サッカー協会は24日、18年W杯ロシア大会を目指す日本代表の新監督にハビエル・アギレ氏(55)が就任すると発表した。原博実専務理事(55)が22日に海外で直接交渉に臨み、条件面などで最終合意。この日の日本協会理事会で承認された。中米の知将は原専務理事に対し「日本人はポテンシャルがある。私の経験を伝えたい」と断言。8月中旬に来日し、4年後のW杯へ向けて9月5日の親善試合ウルグアイ戦(札幌ド)で初陣を飾る。

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 アギレ新監督は、就任前から強い決意をみなぎらせていた。原専務理事に対し「W杯は残念だったが、日本人はポテンシャルがある。体は大きくないが、技術がある選手が多い。もっとできると思っている。私の経験を伝えていきたい。早く日本で仕事をしたい」と力強く宣言していた。

 史上最強と称された布陣でW杯ブラジル大会に臨んだ日本代表だったが、攻撃サッカーが披露できぬまま惨敗した。選手で1回、コーチで1回、監督で2回の計4回W杯を経験している知将は、メキシコのテレビ局テレビサの取材でブラジルに滞在しており「W杯は少しのことでうまくいかないことがある。日本はまだ試合経験や強さが足りない」と分析していたという。

 アギレ氏はメキシコ代表監督として臨んだW杯で2回とも決勝トーナメント進出。スペインでは格下オサスナをCL圏内に導き、降格寸前のサラゴサを残留させるなど、選手や状況に応じ、堅守速攻やポゼッション重視の戦い方ができる「引き出し」を持つ。メキシコ代表監督時代には、7種類のフォーメーションを使い分ける多彩さもあった。

 ブラジル大会で生じた大きな課題の1つは、「自分たちのサッカー」が封じられた時に柔軟な戦い方ができなかった点。原専務理事もW杯ブラジル大会の結果を振り返りつつ「粘り強くも状況によっていろいろな手を打ち、たくましいチームを作ってくれると思う」とアギレ流の導入に期待する。

 契約期間は4年後のW杯ロシア大会を見すえつつ、2年契約で日本代表監督の最高額となる年俸180万 ユーロ (約2億5200万円)。原専務理事との最終交渉でスタッフの陣容も決定。スペイン人フィジカルコーチとGKコーチ、英国人のヘッドコーチ、U―21日本代表の手倉森監督ら日本人もスタッフ入りする。就労ビザの取得を済ませ、8月10日すぎには来日。短期間ながら、アギレジャパン初陣となる9月5日の親善試合ウルグアイ戦に向けて選手を選考する。当面の目標は来年1月のアジア杯オーストラリア大会だ。

 ザッケローニ監督は選手としても監督としてもW杯の経験がなかったが、アギレ氏は選手としても主力で86年W杯メキシコ大会に出場し、8強進出。W杯を知り尽くした人物だ。原専務理事には「(選手選考のために)日本代表の全部の試合を見たい」と話していたという。意欲に燃える指揮官が日本代表を再起、そして進化へと導く。【菅家大輔】

 ◆ハビエル・アギレ 1958年12月1日生まれ。メキシコ市出身。メキシコ代表で自国開催の86年W杯に出場しベスト8。監督としてメキシコのクラブを経た後に、母国の代表を率いてW杯に2度出場。02年日韓大会、10年南アフリカ大会で16強入りした。スペイン1部リーグでオサスナやアトレチコ・マドリード、サラゴサの監督を歴任し13―14年シーズンはエスパニョールを指揮して14位だった。