日本サッカー協会は今日25日、9月から始まるW杯ロシア大会アジア最終予選初戦のUAE戦(9月1日・埼玉スタジアム)とタイ戦(6日・バンコク)の日本代表メンバーを発表する。バヒド・ハリルホジッチ監督(64)は、リオデジャネイロ五輪代表の一部メンバーを高評価。チームは1次リーグで敗退したが「いい大会にした選手がいる」と戦力として期待する。過去の五輪代表同様、ハリルジャパンでもリオ組が今後の浮沈のカギを握る。

 24日夕刻。東京・本郷のJFAハウスの地下駐車場から、ハリルホジッチ監督が愛車に乗って出てきた。公道に出る前に助手席の窓を開けると、待ち受ける報道陣に「コンバンハ」「マタアシタ」と、笑顔で日本語を駆使してあいさつ。アクセルを踏み、さっそうとその場を後にした。

 この日は日本代表のスタッフを集め、ミーティングで招集メンバーを確認したものとみられる。注目されるのは、リオ五輪を戦った弟分、手倉森ジャパンからのフル代表への「昇級」がどれだけあるかだ。

 指揮官は五輪での1次リーグ敗退を「もう少し上までいけた」と残念がる一方で「何人か、かなりいい大会にした人間がいた。それはみなさんも分かったんじゃないですか」と話していた。そして「何人かの選手には、A代表の候補に入ってきてほしい。そういう選手が見えてきたのは、今回よかったことです」と大会を通した成長を受け、ハリルジャパンに引き上げる可能性を示唆した。

 08年北京五輪では、反町ジャパンは今回同様に1次リーグで敗退したが、FW本田、岡崎、DF長友らが台頭。直後の10年南アフリカW杯で、岡田ジャパンを決勝トーナメントに導く原動力になった。

 今回の五輪代表メンバーも、敗退後「次はA代表でW杯」と誓い合った。A代表で活躍できれば、悔しい1次リーグ敗退もいい「肥やし」だったと言える。ハリルホジッチ監督のもとで、リオ組が再起の第1歩を踏み出す。

 ◆W杯アジア最終予選 「4・5」のW杯出場枠を巡り、6カ国ずつA、B組に分かれ、来年9月までホームアンドアウェー方式で争われる。各組上位2位までが本大会の出場権を獲得。A組3位とB組3位は対戦し、勝者はW杯出場権を懸けて北中米カリブ海とのプレーオフに臨む。

 ◆五輪経由W杯行き 4強入りした12年ロンドン五輪日本代表は、2年後の14年W杯ブラジル大会で7人がメンバー入り。五輪直後のW杯アジア最終予選(12年9月11日イラク戦)にも、権田、吉田、酒井宏、酒井高、清武の5人がA代表に選出された。中田英、小野、稲本らを主軸に8強入りした00年シドニー五輪世代は、2年後のW杯日韓大会で9人がメンバー入りし、日本初のW杯16強入りに貢献した。

 五輪の経験は2年後だけでなく、6年後に実を結ぶケースもある。闘莉王、阿部、大久保らの04年アテネ世代は「アテネ経由ドイツ行き」の切符をつかんだのは実質2人だけだったが、6年後の10年W杯南アフリカ大会に6人が出場。08年北京五輪世代の本田、岡崎、長友らとともに16強進出の原動力となった。