日本代表FW岡崎慎司(30=レスター)が、新境地を開拓して国際Aマッチ通算50号を狙う。29日、W杯ロシア大会アジア最終予選に向けて埼玉合宿を行うチームに合流。初戦のUAE戦(9月1日、埼玉)に備え、別メニューで調整した。通算50得点は史上3人目になるが、岡崎は過去49ゴール中、ペナルティーエリア外からのシュートは1点のみ。プレミアリーグ2年目の今季開幕前から秘密特訓してきた「ミドルシュート」で進化を示す。

 練習メニューのサッカーバレーで本田とタッグを組んだ岡崎は、日が暮れると同時に切り上げた。昨季、奇跡の優勝で飾ったプレミアリーグ2年目の今季、3試合目にして勝利を手にして笑顔の代表合流。「(レスターで)チームとして勝たないと(代表に)勢いがつかないので良かった」。早朝の到着から疲れを感じさせず汗を流した岡崎は、秘策を胸に秘めていた。

 ここまでゴール前勝負で積み上げた通算得点は49点。節目の50号に王手をかけ、新たな飛び道具を用意した。泥臭く、体ごと投げ出してゴールへねじ込むスタイルに加えて、ミドルシュートに取り組んできた。「何かしないといけないというのがあって、練習してきた。FWとしてゴールに向かう気持ちを自分の中で取り戻せる。代表でもやっていきたい」と明かした。

 今季開幕前キャンプから1日50本のシュート特訓を、週2回続けている。先発した27日のスウォンジー戦で、前半44分にペナルティーエリア外の左から右足で放った強烈なシュートは、GKの好セーブに阻まれたものの「今までにない引き出しを少し見せられたと思う」と好感触。シュートエリアが広がれば、得点チャンスは自然と増える。

 代表での49点のうち、ペナルティーエリア外から決めた点は、13年3月の親善試合カナダ戦での1点しかない。しかも、飛び出してきたGKの頭上を越すループの軌道だった。体重増でプレミア仕様にパワーアップした体から、突き刺すようなミドルシュートが決まれば、30歳を迎えてもなお進化を示すことができる。

 リオデジャネイロ五輪を、イングランドで見ていた。体操、バドミントン、卓球での日の丸の活躍にあらためて代表の誇りを感じ取った。出場3度目のW杯最終予選初戦は、1年半前にアジア杯準々決勝で敗れたUAE戦。言葉に力を込めた。「苦い思いをしている。アジア杯でのことを払拭(ふっしょく)しないと前へ進めない。大事な試合で決めるのは、ただの1点とは価値が違う。自分にとって大事。ゴールを欲してるし、飢えている」。記念すべき50号を、W杯への号砲にする。【栗田成芳】

 ◆岡崎のPA外ゴール Aマッチ通算49得点のうちPA外からのゴールは1点だけ。13年3月22日の親善試合カナダ戦の前半9分に左足で記録。そもそもPA外からのシュートが少なく、データスタジアムの統計で通算102試合の出場でわずか36本、エリア外シュートの成功率(得点÷シュート)は2・8%となる。一方、PA内からはシュート248本で48得点、成功率は19・4%。ちなみに、通算35得点の本田は直接FKによる2点を含めてPA外ゴールは5点。通算27得点の香川は7点をPA外から決めている。