日本サッカー協会が、W杯アジア最終予選の序盤から苦戦しているハリルジャパンのてこ入れに動く。6日の同予選第2戦、アウェーのタイ戦で2-0と勝った日本代表は、7日早朝に中部国際空港に帰国。西野朗技術委員長(61)は、今日8日にバヒド・ハリルホジッチ監督(64)と手倉森誠氏(48)が会談することを明かした。同氏はリオデジャネイロ五輪出場に日本代表を導くなど、求心力やチームマネジメントに定評がある。監督と選手のつなぎ役として期待される。

 西野技術委員長は「明日ですね」とハリルホジッチ監督と手倉森氏との会談の日取りを明かした。同氏の手腕を評価し、すでに日本協会としてコーチに推薦しているが、最終的には同監督の意向を尊重するとしてきた。「明日2人でお互いの気持ちを話して、それを受けて我々も対応したい」とあらためて説明した。

 日本代表は1日のW杯アジア最終予選初戦のUAE戦で、1-2とまさかの敗戦。同最終予選では、現行のホームアンドアウェー方式になった98年以来、初戦を落とした国が突破した例はない。“確率0%”というデータの重みも相まってチームは精神的に揺らいだ。

 ハリルホジッチ監督は必死にチームの立て直しに苦慮した。「笑顔禁止令」を出したり、深夜に日本料理店での決起集会を強行したりと、雰囲気を変えようともがいた。W杯予選を戦う上で精神面のマネジメント、チームをまとめる求心力は重要。苦戦の中で、協会幹部も再確認した。

 その点、手倉森氏はうってつけの人材。「世界を知らない世代」として、苦戦が予想されたU-23日本代表をうまくまとめ、リオ五輪アジア最終予選突破に導いた。オーバーエージ枠で五輪本大会に出場した浦和FW興梠のように「テグさんだからこそ招集を受け入れた」と慕う選手も多い。

 西野技術委員長は「選手と監督の間に立ってもらいたい。バヒドもそういうサポートをしてもらいたいんで」と意図を語った。今後日本代表は同予選で、年内にイラク、オーストラリア、サウジアラビアと対戦する。いずれも難敵だが、手倉森ジャパンは3カ国から勝利を挙げている。戦術や戦力を把握しているという意味でも、手倉森氏合流のメリットはある。

 昨年10月までハリルジャパンのコーチを兼任していた同氏はこの日、日本協会を訪れた際に「五輪を経験して、日本のために貢献したいという気持ちが高まった」と話した。