U-16(16歳以下)日本代表が来年夏に開催されるU-17W杯(インド)に2大会ぶり8度目の出場を決めた。出場権をかけたUAE戦の前半31分、同代表FW久保建英(たけふさ、15=東京U-18)のCKから決勝点が生まれた。1-0というスコア以上に内容で圧倒。A代表がW杯アジア最終予選で敗れた因縁の相手に敵討ちをし、世界への扉を開いた。

 大一番でゴールをこじ開けるきっかけをつくったのは、久保の左足だった。序盤から圧倒したが最後の最後で攻めあぐねていた。打てども打てども奪えないゴール。前半31分、嫌なムードを右CKから振り払った。キッカーは久保。前半左足で回転をかけたボールを相手GKがこぼした。こぼれ球をDF瀬古が押し込み、待望の決勝点が生まれた。久保の連続ゴールこそ途絶えたが、起点となった。

 久保がボールを持てば、3人掛かりで止めにかかる。それでも、その守備網をかいくぐり、1人ドリブルで突破するテクニックが上回った。前半26分にスピードに乗りながら2人かわして右足シュート。同38分には左足裏でかわして、今度は左足でゴールを狙った。1次リーグ3戦目は温存策で出場を回避。フレッシュに動き回り、世界への扉をこじ開けた。

 U-17世代の世界への切符は、日本サッカーの飛躍へとつながる。前回大会は韓国に敗れて出場できなかった。育成年代で世界を肌で感じることでU-23世代の五輪、そしてA代表のW杯へと底上げされる。1次リーグを3戦全勝21得点無失点で終えても、森山監督が「まだ何も成し遂げていない」と繰り返したのは、出場権獲得が最低限だと分かっていたからだ。

 相手はA代表がアジア杯とW杯最終予選で2連敗しているUAE。内容で圧倒し、最後は反撃に出るUAEから逃げ切った。準決勝進出で勢いに乗った日本が目指すは、10年ぶり3度目のアジア制覇だけだ。