U-16(16歳以下)日本代表FW久保建英(たけふさ=15、東京U-18)が、出場を決めたU-17W杯(インド、17年8月19日開幕)を皮切りにレジェンドの背中を追う。U-16アジア選手権(インド・ゴア)の準々決勝UAE戦では、右CKから決勝点につなげる“アシスト”をマークした。U-17W杯以降、5大世界大会での得点者はサッカー界で中田英寿氏とロナウジーニョの2人だけ。久保も所属したバルセロナと日本のレジェンド2人の偉業への挑戦が始まる。

 ウオーターシャワーと同時に、日本の世界への扉が開いた。UAE戦を1-0で逃げ切った。追加点が奪えない苦しい展開をしのいだ安堵(あんど)感を開放するように、試合後はピッチでドリンク用の水を巻き上げた。久保は屈託なく笑い、仲間と喜びを分かち合った。日本協会を通じて「まずは最初の目標であった、ワールドカップ出場権獲得を達成できてうれしいです」とコメント。その言葉通り、来年8月開幕のU-17W杯から歴史に名を残すチャンスが待っている。

 過去にU-17、U-20、U-23世代の五輪、コンフェデ杯、W杯の5大世界大会でゴールを決めた選手は、世界で中田氏とロナウジーニョの2人だけ。それほど育成年代から世界で戦い、活躍し続けることは難しい。ただU-16世代では飛び抜けたテクニックを披露した久保には、史上3人目となる可能性は十分ある。

 UAE戦でも別次元のプレーを見せた。両チームとも疲労感が漂い出した後半39分。左サイドから中へ切り込んで1人かわすと、中で待ち受けるDFを今度は縦に突破した。背中を追うバルセロナの元10番ロナウジーニョのように、見る人を魅了するようなプレーでチームを引っ張ってきた。

 久保は「これでやっとスタートラインに立ったと思うので、引き続き個人的にもチームとしても向上していきたいと思います」。少ない言葉に力を込めて、初めての世界大会となるU-17W杯を、久保伝説の足がかりにする。