勝利あるのみ-。日本(FIFAランク56位)は今日6日、W杯アジア最終予選の第3戦でイラク(同128位)と対戦する。最終予選はUAEとの初戦で黒星発進となり、現在は勝ち点3(1勝1敗)でB組3位に位置する。バヒド・ハリルホジッチ監督(64)は、引き分け以下で解任される可能性がある。第2戦のタイ戦に続き、進退を懸けた一戦を前に5日の公式会見ではイライラムードを漂わせた。

 ハリルホジッチ監督は、チームがイラクに牙をむく前に、記者にかみついた。ジョークも笑みもない緊迫の公式会見。いつも通り直後の公式練習に備えてスパイクを履き、カツカツと音を立て入場。冒頭から「何人かの方は理解できない、理解したくないというような状況だが、日本が勝つための準備をすると言うだけにとどめておく」。どこか挑戦的に答えた。

 最終予選黒星発進後、しゃべるたび口を突く「言い訳」が猛スピードで拡散。漂う解任ムードも感じているからか、明らかに不満げな態度。会見終盤に「今回はミーティングの回数を減らしたりしているというが?」と聞かれた。この何げない質問にヒートアップした。「誰から聞いたんですか?」「その(事実の)確認はまだできていないんですね?」と矢継ぎ早に逆質問。指揮官がピッチで選手に求める1対1の争い「デュエル」を体現するような、一方的な言葉攻め。異様なムードになった。

 本来は、慌てることなどない。相手はお得意様。00年アジア杯以降、つまりドーハの悲劇後は6連勝中で、ここ5試合連続完封勝利中。イラクはこの最終予選も2連敗と結果が出ていない。求められるのは勝利のみ。ただ、それ以外はない。

 攻撃的姿勢はプレッシャーからくるものか。「日本では、それがいいことなのか悪いことなのかは分からないが、そんなにプレッシャーがない。私がチームを率いてきた経験からすると、ここの10倍プレッシャーがあった」。強がってみせたが不安が透けて見えた。

 これまで合宿では1時間超の長いミーティングを連日のように行ってきたが、選手の希望を受け入れ、今回は30分ほどで回数も減らした。MF香川を先発から外す勝負手の一方、所属クラブで香川より出場機会の少ないFW本田を先発起用する見込み。“控えジャパン”の象徴と心中する覚悟だ。

 イラクの記者からは「日本代表のレベルも最近、そんなに高くないように見受けられる。どうしてか?」とも聞かれた。答えは「日本には、まだまだ最終予選を突破するだけのクオリティーがある。明日は勝つ」だった。「明日」、つまり今日6日に宣言通りの結果をつかむことができるだろうか。運命の一戦になる。【八反誠】