日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(64)が11月の日本代表合宿に新たな海外組の招集を検討していることが12日、分かった。W杯アジア最終予選B組首位のサウジアラビア戦(同15日、埼玉)の前に、国際親善試合オマーン戦(同11日、カシマ)が組み込まれており起用のチャンスが広がるため。オーストラリア戦を1-1で終えた同監督と国内組は同日、成田空港に帰国。日本協会内で進退問題がくすぶる中、指揮官は準備を進めていく。

 勝ち点1を手土産に敵地オーストラリアから帰国したハリルホジッチ監督は、ご機嫌だった。空港内では客の求めに応じ、丁寧にサイン。南半球ではけんか腰で構えた報道陣に「皆さんは昨日の試合をどう評価しますか?」と話しかける余裕があった。

 10月の2試合を前に、自身でも設定していた最低ラインの勝ち点4(1勝1分け)を得た。内容は乏しく、協会内では依然として手腕を疑問視する声がくすぶる。ただ、指揮官は胸を張り次を見る。今回頼った本田、香川ら所属クラブでは試合に出ていない海外組の“控えジャパン”ではなく、出場機会を得ている海外組から数人を手元に呼び、親善試合のオマーン戦で試すプランを温めている。

 協会関係者は「11月はいろいろなことを試す場がある」と話す。親善試合は普通交代枠が6人と多く起用の幅も広がる。手倉森コーチが率いた世代別代表で成長した南野拓実(ザルツブルク)久保裕也(ヤングボーイズ)や、追跡中の宮市亮(ザンクトパウリ)らが候補。近日中にスタッフを欧州に派遣し、試合をチェックさせる手はずも整えた。

 国内視察を続け、新戦力発掘に努めるが「海外と日本の差は歴然」と言い、厳しい環境に身を置く海外組を優先している。本田、香川らへの期待は不変だが、今後1カ月で劇的に出場機会が増えるとは考えにくい。サウジアラビア戦は年内最後で、W杯アジア最終予選の折り返し前最後の試合。11月のメンバー発表まで、3戦連発で主力となった原口に続く“申し子”の発掘にエネルギーを注ぐ。