世界基準のGK育成は前途多難? 日本代表のGK限定合宿第2日が18日、堺市で行われた。GKは身長190センチ以上という理想を示したバヒド・ハリルホジッチ監督(64)は、視察に訪れた45人の育成部門コーチ陣に「世界に通用するGKを育てる」と訓示。だが、父が米国人の197センチGKシュミット・ダニエル(24=松本)が左足首を負傷するなど、先行きは険しそうだ。

 シュミットが、ピッチ中央に倒れ込んだ。心配そうにハリルホジッチ監督がのぞくと「大丈夫です」と答えて立ち上がった。2部練習の最後。大学生のフィールド選手を使ったシュート対応で左足首を負傷した。大事をとって、クールダウンのランニングは回避。無言で宿舎に帰った。

 「190センチGK」育成へ、強行した3日間の短期合宿だった。各クラブはリーグ戦が佳境で、J2で自動昇格圏2位につける松本もJ1昇格へ正念場。ケガ人を出すことは避けたかったはず。午前の練習でハリルホジッチ監督は、視察に訪れたJ下部組織の育成コーチらに前日に続いて訓示した。その数45人。

 「欧州の強豪国で、日本人GKが欲しいクラブはないのが現状。世界に通用するGKを育成しなければいけない。日本人には能力がある。話を聞けるし、規律もある。世界基準になれる。良い選手になれば、強豪国から日本人GKが欲しいと言ってもらえる」

 前夜は所属クラブでの失点シーンを集めた映像を使って討論会を開かせた。西川には15日のルヴァン杯決勝で、G大阪FWアデミウソンに決められた1対1の場面。林には9月17日リーグ戦で、広島DF塩谷に許した35メートルのロングシュート。ポジショニングなどがディスカッションされたが、その席にハリルホジッチ監督は不在だったという。

 いつものように体脂肪率を厳しく管理し、要求するスクワットは体重の1・5倍。目指すは大型GKの育成だが、シュート対応で動きが良かったのはやはり6選手中最も身長の低い183センチ西川に、184センチ東口。けが人も出してしまい、理想と現実のはざまで悩む日々は続く。【益子浩一】