日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(64)が15日のW杯アジア最終予選サウジアラビア戦(埼玉)で本田外しを決断する可能性が出てきた。日本(FIFAランク51位)は11日、親善試合でオマーン(同129位)に4-0で快勝した。指揮官は、先発させたFW本田圭佑(30=ACミラン)の物足りなさを指摘。10年W杯南アフリカ大会以降、日本の中心に君臨し、今回のW杯アジア最終予選で全4戦に先発してきた本田が、大一番でベンチに追いやられるかもしれない。

 ハリルホジッチ監督が大きな決断を下す可能性が出てきた。本田外し-。後半16分、本田が交代する際、2人はパチンと手を合わせた。いつも通りの光景だが、すべてがかみ合っているわけではなかった。

 調整試合と位置付けたオマーン戦。指揮官は本田のために先発させ、61分間プレーさせた。金髪の背番号4はシュートこそ大迫と並び最多タイ4本を記録したが、得点なし。動きは目立たず、トラップミスやボールが足につかない場面もあった。所属のACミランでは今季、リーグ出場が3試合計81分だけ。勝っても無表情の指揮官は、こう言い切った。

 「本田は試合のリズムが足りないと確認できた。かなりの経験があり、ここまで存在感を出してきたのだが…。サウジアラビア戦が控えている。一番良いパフォーマンスの選手が誰なのか、把握していかないといけない」

 就任からどんな時も、本田への信頼を口にしてきた。歯に衣(きぬ)着せぬ物言いの指揮官だが、選手への言葉は選び、守ってきた。この日も同じ。大迫、清武、丸山、永木、小林、浅野、斎藤の名をスラスラ挙げ、一定の評価をした。ただ、本田について聞かれるとバッサリ切った。さらに、こう付け加えた。

 「私は現段階でよりよいチーム、強いチームを作ろうとしているだけ。大事な選手を誰と交代させるのかが大事になる。キーとなる選手より交代する選手の方がパフォーマンスが良ければ、躊躇(ちゅうちょ)なく使う。問題ない。経験も考慮するが」

 対する本田は「個人として、サッカー選手として、いい再確認をすることができた」と言った。細かいパス交換から崩した2点目については「(これまで)皆無だった」と手応えを深めていた。口にしたのは、指揮官が問題視するコンディションではなく、目指すべきサッカーの方向性について。2人は重視している点が異なった。

 本来、本田を脅かすはずのFW小林悠(川崎F)はけがで招集されなかった。久保、浅野らFWはいるが経験不足は否めない。監督はここから大一番まで4日間、頭を悩ませ続けることになるだろう。不安要素を抱いてサウジ戦に向かう。パチンと合わせた手は、何かが大きく変わる合図にも見えてきた。【八反誠】

 ◆ロシアW杯アジア予選の本田 2次予選8試合のうち7試合に出場(うち6試合が先発)。今年3月の同アフガニスタン戦(ホーム)は直前合流でコンディション面を考慮され、出番がなかった。最終予選はここまで全4試合に先発出場している。このW杯予選では出場7戦連続得点を記録している。