MF清武弘嗣(27)が首位撃破の原動力になった。0-0で折り返すかと思われた前半45分、自ら獲得したPKを決めて国際Aマッチ2戦連発。11日の親善試合オマーン戦と合わせて2得点2アシストし「誰が出ても勝ち点3が必要だった大一番。いい形で今年を締めくくれた」と納得した。

 PKは自ら相手のハンドを誘発して得た。代表のキッカーは本田、清武の優先順位。本田はいない。迷わずボールを置くと、右足でGKの逆を突き、ゴール左隅に先制弾を決めた。スペインでの単身赴任を応援してくれている家族へ左手薬指にキスして感謝し、本田や香川のいるベンチに走って歓喜の渦に身を投げた。

 今季移籍したセビリアでは、8月のエスパニョール戦で日本人初の開幕戦ゴールを記録。CKでアシストもした。その右足は、欧州リーグ3連覇の強豪でキッカーを任される精度だ。現在はリーグ7戦連続不出場も、元フランス代表MFナスリらを相手にした紅白戦の強度は高い。全体練習の後は自宅マンション階下にあるジムに直行し、運動生理学に基づいたメニューで補強している。「試合勘とか言われるけど鈍っていない自信がある」。香川から定位置を奪ったトップ下で躍動し、証明してみせた。

 今月12日に27歳の誕生日を迎え、自ら祝砲を打ち上げた。「(本田)圭佑君から『決めることで自信になる』と言われたし、このゴールは大きい」。後半19分に“お役御免”となるまで日本の攻撃を調律し、2年後のW杯をエースで迎える夢に前進した。【木下淳】