「ニッカン・フットボール・アウォーズ」の最終回は日本代表編。サッカー分析会社「データスタジアム」のデータを使って、代表のこの1年を振り返る。計32人が出場した今年は、MF清武弘嗣(27=セビリア)が初の単独アシスト王を獲得した。ゴールに絡んだ回数を数値化して合算した「ゴール関係ポイント」でも、12年から4年連続トップのFW本田らを抑えて1位。08年北京世代から12年ロンドン世代へ-。A代表の「世代交代」が進みつつあることを印象づけた。

 清武が主役に上り詰めた。W杯アジア最終予選が始まった16年の日本代表は国際Aマッチ通算10試合で7勝1分け2敗の計30ゴール。そのうち、清武はMFで最多タイの9試合に出場し、4得点をマークした。アシストも7度記録し、自身初の単独アシスト王。ゴールまでの4プレー以内に絡んだ回数も最多19回あり、それを合算して数値化した「ゴール関係ポイント」は67ポイントで、堂々の1位に輝いた。

 同じロンドン世代の原口、山口らとともに主力として結果を残した。今年のアシスト数の2位は北京世代の本田ら4人の2度。清武の7アシストは突出していた。ただ、意外にもパス成功率は68・5%と自身の年間ワーストを更新。同じトップ下の香川が80・2%だったから、いかに低かったかが分かる。それでもアシストを量産。なぜか?

 2アシストした11月のオマーン戦。そこでのパスの軌跡を見ると、理由も明らかになる。味方につながらなかったパスは、ほとんどが敵陣ペナルティーエリア方向へ向いていた。清武のパスは、いわば「キラーパス」。ひとたび味方に通れば決定機。相手も必死で防ごうとするから、つながらないこともある。パス成功率の低さは、むしろ相手の急所を狙い続けた証しといえる。

 12年のロンドン五輪でも、守備網の隙を突くようなパスで、日本の4強進出の原動力になった。来年はW杯出場を掛けた大一番が控える。本田、岡崎ら北京世代は黙ってその座を明け渡してしまうのか? 今年の清武の躍動には、そのまま突っ走りそうな勢いが感じられた。【石川秀和】

 ◆ゴール関係ポイント ゴールに絡んだ回数を数値化し、攻撃の貢献度を測ったもの。得点=5P、得点の1プレー前(表中の1)=4P、同2プレー前(2)=3P、同3プレー前(3)=2P、同4プレー前(4)=1P。得点の1プレー前は、アシストとして記録しないケースもある。