プレーバック日刊スポーツ! 過去の2月23日付紙面を振り返ります。2012年の1面(東京版)は日本五輪へ4発どや サプライズ起用斎藤初ゴールを報じています。

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<ロンドン五輪アジア最終予選:日本4-0マレーシア>◇C組◇2012年2月22日◇クアラルンプール

 関塚ジャパンの逆襲が始まった。U-23(23歳以下)日本代表が4-0でU-23マレーシア代表に圧勝。アジア最終予選C組首位突破に望みをつないだ。右MFに斎藤学(21=横浜)、ボランチにMF扇原貴宏(20=C大阪)を先発起用する采配が機能し、同組のライバル、シリアとの得失点差、総得点争いが鍵となる一戦で大量4得点を挙げた。日本は3月14日の最終予選最終節バーレーン戦(国立)の結果次第で、5大会連続9度目の五輪出場が決まる。

 汗だくになりながら、誰もがホッとした表情を浮かべていた。試合終了後、選手はハイタッチで勝利を分かち合った。DF鈴木は両手でガッツポーズを作った。関塚監督は、スタッフ1人1人と力強く握手を交わした。試合開始の午後9時の気温は30度近く、湿度は74%。選手たちは試合が途切れるたびに積極的に給水した過酷な一戦を、大勝で飾った。関塚監督は「この蒸し暑い中で、よく最後まで足を止めずにやってくれた」とねぎらった。

 采配が的中した。シリアとの得失点差、総得点差が本大会出場の鍵を握る戦い。MF清武、山田、山崎と3人の攻撃陣をケガで欠く中、関塚監督がついに勝負に出た。これまで通り、4-2-3-1の布陣で臨んだが、MF清武に代わって2列目の右サイドに起用したのはエースFW永井ではなく、ドリブルが得意なMF斎藤。そして、これまで負傷で招集されなかった時以外は常に起用してきた主将MF山村を初めて先発から外し、MF扇原を左ボランチに起用した。正確なキックが武器の扇原を起点に、両サイドから攻撃を組み立てた。

 1点リードの前半終了間際、そのMF扇原のFKをFW大迫が頭で押し込んで2点目を挙げた。後半10分にMF原口が3点目を奪うと、同15分には再び扇原が魅せた。中央付近から放ったミドルシュートはGKにはじかれたが、このこぼれ球を斎藤が押し込んだ。「1人1人のシュートの意識が得点につながった。本当に、前の選手が奮起してくれたと思う」と関塚監督。最終予選突破に望みをつなぐ貴重な4点目にも絡んだ扇原は「ミスもあったけど、いい形でゲームを進められた。欲を言えばもっと(点を)取りたかったけど、悪くはないと思う」と満足げに振り返った。

 日本は後半、2列目のMF東、原口、斎藤が積極的にポジションチェンジを繰り返すなどして、マレーシアのDFラインを揺さぶった。後半途中から永井、山村もピッチに登場し、最後まで試合を支配した関塚ジャパン。すでに敗退が決まっている格下マレーシアの息の根を、完全に止めた。

 この4ゴールは、公式戦では全員が代表初ゴール。内容的にも結果的にも、次のバーレーン戦につながる大きな快勝だ。関塚監督は「あと1、2点取れたけど、最後まで取りにいく姿勢は見せてくれた。4点という評価は、次のところでするもの。これで国立に戻って戦える。しっかりと結果を残していきたい」。これでエンジンはかかった。すべてはロンドンへの道を切り開くため。あとは、国立で迎える今予選最後の試合で、再びゴールラッシュを目指す。

 ◆斎藤学(さいとう・まなぶ)1990年(平2)4月4日、神奈川県川崎市生まれ。横浜ユースから09年に横浜のトップ昇格。J2愛媛に期限付き移籍した昨季は14得点。今季横浜に復帰した。169センチ、64キロ。

※記録と表記は当時のもの