5試合ぶり先発のFW岡崎慎司(30=レスター)が、30歳346日で史上3人目の代表通算50得点を達成した。1-0の前半19分にFW久保の右クロスに頭で合わせ、貴重な追加点。得意とするペナルティーエリア内の“職場”で決定力の高さを見せつけ、巡ってきた先発機会をものにした。リオ五輪世代の久保ら若手の台頭が光る中、MF香川、DF吉田とともに北京五輪世代も勝利に貢献した。

 自分らしくもぎ取った。岡崎は久保の右クロスに合わせ、DFの背後からニアに頭から飛びこんだ。狙いはシュートコースの狭いゴール右隅。ボールはGKの手をかすめ、ネットを揺らした。前日に「迫力を持ってエリア内に入って得点したい」と瞳に力を込めて決意を表明。有言実行の一撃だった。

 金字塔に王手をかけてから、6戦連続無得点。「感覚が失われていた」という中、元イタリア代表FWインザーギらのゴール映像を見るなどイメージを膨らませた。節目の1発は代名詞のヘディング弾。「もう1回、FWとしての感覚をよみがえらせる意味でもよかった」。ベンチへ一目散に走り、喜びを爆発させた。

 代表通算50得点。そのうち17点を頭で挙げた。FW本田の36得点中6点、MF香川の28得点中2点と比べても数字は突出している。さらにペナルティーエリア外からはわずか1得点。この日の1発も含め49点を自らの「持ち場」で仕留めてきた。ハリルジャパン体制では本田と並ぶ最多9得点目。健在ぶりを示した。

 所属のレスターでは主力だった昨季から一転、ベンチを温める日々を経験した。「『ちくしょー』と思いながら」歯を食いしばった。チームで唯一、練習で手を抜かなかった自信がある。「何のために頑張っているかと言えば、点取ってヒーローになるため」。誇りを失わず、年明けの監督交代を機に信頼を取り戻した。欧州チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦では先発を勝ち取り、クラブ初の8強へ導いた。控えでも万全の準備を重ねる心がけは代表でも生きた。

 岡崎をはじめ先制点の香川や本田ら、北京五輪世代は今や古株。久保が本田から先発を奪い取り、岡崎の指定席だった1トップにも大迫が立つ。耳に届く世代交代の声は、ゴールとスタンドの岡崎コールでかき消した。「代表であるために、これからもゴールを決め続けたい」。長く代表を支える男は、まだまだ輝いている。【岡崎悠利】