FC東京ユースFW久保建英(15)が2日、U-20(20歳以下)W杯韓国大会(20日開幕)の日本代表メンバーに選出された。

 取材の中で、報道陣から「U-20W杯を、どんな大会にしたいですか?」と質問が飛んだ。久保は、まずサッカーを「ある意味、運が味方するかしないかというスポーツでもあると思う」と定義づけた。

 その上で、「自分はこれまで、何とか運を味方につけてきた結果、ここにいると思っている」と語った。そしてU-20W杯について「(日本が)5大会ぶりの出場で、注目度も増している中で、結果を残せれば、またこっちに運が向いているかと思うので、ぜひ頑張りたい」とかみしめるように語った。

 久保の言葉を聞いて、世界屈指の名門・バルセロナの下部組織で、しのぎを削ってきた選手として、肌身に染みたサッカーの厳しさを垣間見た思いだった。久保は2001年(平13)6月4日に神奈川・川崎市で生まれ、10歳だった11年9月に川崎Fの下部組織からバルセロナの下部組織に入団。12-13年シーズンには、当該年代のリーグ戦で30試合に出場し、74得点で得点王に輝いた。

 久保が在籍したバルセロナの下部組織には、世界中から屈指の逸材が集まるが、下部組織に入団した選手の中で、本拠地カンプ・ノウのピッチに立てるのはほんの一握りだ。エースのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが、13歳で入団した時に同期だった選手と14年ぶりに再会を果たした模様を描いた、14年のスペインのドキュメンタリー「Marcats per Messi~メッシに魅せられて」でも、その代でバルサのトップでプレーしているのはメッシだけだと紹介されている。

 久保は、16年11月末に行われたアルゼンチン遠征で初招集された段階で「本大会には呼ばれたいと思った」と語った。その時点で、日本代表のユニホームを着て、世界の舞台で戦うことを明確にイメージしていたということだ。

 本大会で目指すプレーの基準を聞かれると「基準を作ってしまうと、それより上に行くことが少ない。上の基準を作らずに、最低限としてはみんなが見て楽しいなというプレーを見せてチームの勝利に貢献したい」と答えた。

 代表としての世界デビューとなる、U-20W杯で、自らの能力を最大限に発揮し、チームの勝利に貢献することが、自身の運をさらに開くことを知っている。最年少15歳の視線は、常に世界を向いている。【村上幸将】