【水原(韓国)18日=岡崎悠利】サッカーU-20(20歳以下)W杯韓国大会(20日開幕)に出場する日本代表のエースFW小川航基(19=磐田)が、偉大な先輩たちの金言を胸に世界へ挑戦する。当地で約1時間半、シュート練習などに取り組んだ。2年目を迎えたジュビロ磐田では名波浩監督、MF中村俊輔らからアドバイスを受けながら成長。海外遠征で経験も積んで臨む今大会で、ゴールを先輩への恩返しにする。

 練習を終えた小川は爽やかな顔つきだった。約1時間半、FW久保らと攻撃の連係を行い、最後はシュート練習を繰り返した。開幕を前に「この1年は濃かった」と振り返る。今季からは磐田でも出場機会を増やした。ルヴァン杯ではハットトリックも決め進化を見せた。満を持して臨む1次リーグ初戦の相手は南アフリカ。宿舎が同じで「でかいなと思う。やりがいがある」と闘争心に火がついている。

 シュートは天才と呼ばれた指揮官・名波監督にたたきこまれた。ほぼ毎日、全体練習の後にマンツーマンで居残り練習を重ねた。時には「もう高校生じゃないんだぞ」とゲキを飛ばされながら、名波監督が出す、速さも長さも異なるパスを追った。トラップの仕方、シュート前のリラックス。1つ1つ磨いてきた。

 もうひとりの天才・中村俊からは心構えを説かれた。「練習に影響することはするな。1日の練習に最高の状態で臨めるように。見てきた中で、だらしない選手は大成しない」。より自分を省みるようになった。15日のU-20ホンジュラス代表との親善試合も映像で何度も見返した。「パスを受けたときに逆サイドが見えていなかったし、もっとゴール前で周りを見ないと」。大会直前になっても、明確な課題を持って練習に向かう。すべてはチームを救うゴールのためだ。

 本番への準備は整いつつある。出発前には名波監督に「日の丸を背負う経験を積むことは大事なこと」と背中を押された。小川にとってW杯は「恩返しするチャンス」。不動のエースとして、1つでも多くのゴールを磐田へ届ける。