U-20日本代表が同ウルグアイ代表に0-2で敗れた。1勝1敗でD組首位から3位に後退。前半途中にエースFW小川航基(19=磐田)が負傷退場し、飛び級選出のFW久保建英(15=東京ユース)が緊急出場した。南米予選首位の厳しいマークに遭い、光るプレーも見せたがゴールは奪えなかった。1次リーグ突破をかけて、27日のイタリア戦に臨む。

 思わぬ形で久保がピッチに立った。前半16分、チームをアクシデントが襲った。絶対的エースのFW小川が左膝を痛め、担架で運ばれた。3月のドイツ遠征から対外試合で6戦連発中だった攻撃の核を突然失った。急きょウオーミングアップを始めた攻撃陣。呼ばれたのは15歳の久保だった。わずか3分の準備運動でピッチに向かった。

 すぐに南米王者の容赦ないマークに遭う。出場してすぐの敵陣深くでのファーストタッチ、続く中盤でのドリブルはともに180センチを超える相手の厳しいタックルを浴びた。「相手は速かった」。25分には左サイドから突破を試みたが、2人に挟み込まれて奪われた。ときには片方のサイドを空けてでも背番号20を抑えにきた。

 厳しい寄せが久保の闘志に火をつけた。「これじゃ終われない、とハーフタイムに思った」。好機は作った。後半9分、MF市丸のシュートをGKがはじいた。高く浮いたボールの落下地点にいち早く久保が走った。ただ、GKが戻っていないゴールへ放ったヘディングは枠の上。「外したということ。それが結果です」。あおむけに倒れ、両手で顔を覆った。

 同13分には素早いターンでDF2人を振り切りペナルティーエリア内へ。左足の強烈なシュートで決定的な場面を作るなど、対応力の高さも示した。その後もFW岩崎へのスルーパスなど好プレーを見せたが、得点にはつながらなかった。

 チームの行方が15歳に託される可能性も出てきた。敗れたものの、次のイタリア戦に勝てば自力で決勝トーナメントに進める。この大一番を前に、小川の出場は不透明だ。自力で立ち上がることができなかったエースの穴を埋められるのは現時点で久保しかいない。今大会で初の先発を任されることも考えられる。「後ろは見ずに、心も体も切り替えたい」と顔を上げた。チームを襲った小川のアクシデント。苦境をはね返すカギは、久保が握っている。【岡崎悠利】